USCPAの試験において最も日本人が苦手とする分野が、BECの記述問題である「Written Communication」ではないでしょうか。ほとんどの日本人は英語で何かを書く経験が無いことに加え、USCPA試験で求められる内容は専門的だからです。そこで、今回は日本人にとって難易度の高いWritten Communicationで、少しでも高い配点を取るためにはどのように対策すれば良いかを考察してみます。
試験で求められていることを知る
Written Communicationの対策をする前に、まずこの分野でどのようなことが求められているかを分析します。USCPAの試験の作成と採点を行うAICPAのウェブサイトによると、Written Communicationは文章全体を1つとして採点が行われ、その文章全体は以下の3つの判定基準に基づきスコアが決定されるようです。
- Organization
- Development
- Expression
それでは、それぞれについて詳しく見ていきます。
【Organization】
Organizationとは、記述された文章の大まかな構造、記載事項の順序及び結びつきを意味しています。この分野で重要となるのは以下のポイントになります。
- 文章の全体感。テーマが明確か
- 各パラグラフがテーマに沿っているか
- 各パラグラフの結びつきは問題ないか
つまり、1つのテーマについて記載している場合、文章全体でしっかりそのテーマを論じているかという点、そして文章の構成、順序、結びつきなどの文章におけるロジックに問題がないかが見られることになります。
【Development】
Developmentとは、文章をサポートする証拠や、自分の考えを明確化する情報が使用されているかということを意味します。この分野で重要となるのは以下のポイントになります。
- 詳細な情報があるか
- 定義を間違えていないか
- 例示があるか
- リフレーズ(言い換え)しているか
つまり、1つのテーマについて記載している場合、そのテーマについておおざっぱなことだけを書くのではなく、詳細な事項や具体的な例示などでしっかりと自分の言いたいことを主張するためのサポートができてるかが見られることになります。
【Expression】
Expressionとは、ビジネス英語の伝統的な様式に沿った形式で記載されているかということです。この分野で重要となるのは以下のポイントになります。
- 文法が正確か
- 句読点の使用
- 用語が正しく使用されているか
- 大文字、小文字が正しいか
- スペルミスはないか
こちらが一番イメージしやすいのではないでしょうか。要するに文章として単純な間違いがないかが見られていることになります。
その他
それ以外にも「受験者は明確に、完全かつプロフェッショナル(clear, complete, and professional)な正しい情報を記載するべきである」という記載もあります。また、トピックに関連する記載のみが採点されるのであって、仮に全くトピックに関連しない回答や、明確に違法であるアドバイス(クライアントにアドバイスを行うような記述問題もあります)を行っている場合は配点されないとも書かれています。
Written Communication対策
さて、Written Communicationがどのような基準で採点されるかを知ったところで、ある一つの疑問にたどり着くと思います。それは「実際にどのように記載すれば良いのか」ということになります。僕もどのように対策すれば良いかわからなかったので、実際に試験会場に着くまで、Written Communicationについては問題集にある例題と回答例に目を通しておいたくらいで、具体的な対策をあまり行わなかったのですが、本番当日に「あること」を思い出して記述問題に取り組んだおかげで、何とかBECは1回で合格することができました。今回は、その方法を紹介したいと思います。
僕が試験当日に思い出したのはTOEFLにおけるWritingセクションの対策になります。TOEFLとは、英語圏以外に住んでいる人が留学するときに自らの英語力を証明するために受験するテストで、Reading、Listening、Speaking、Writingから構成されています。この試験が非常に難易度が高く、それぞれの分野で高い配点を取らなければ海外留学の切符を手に入れることができません。僕は大学時代にどうしても海外留学がしたかったので、この難易度が高い試験を何度も受験してはスコアが足りず悲しい思いをするという経験をしました。最終的に大学が要求するスコアが取れたので留学できたのですが、当時は全然英語ができなかったのでUSCPAの試験より苦しい思いをした記憶があります。そのTOEFLのWriting対策として色々と調査した結果、英語の記述には、ある一定のテンプレートがあり、そのテンプレートに自分の考えを当てはめて記載すればある程度の点数が取れる、というものがありました。僕がUSCPAの試験の際に思い出したのはこのテンプレートになります。
英語のテンプレートとは
記述問題における英語のテンプレートとは、以下の骨組みに沿って英語を記載していくことになります。
- 前文(結論)
- サポート1+例示(可能であれば)
- サポート2+例示(可能であれば)
- サポート3+例示(可能であれば)
- 結論
このような構成で行くと非常に記載しやすくなっています。もう少し詳細に記載していきます。
前文(結論)
まず、自分はどう思うかについていきなり結論を書きます。簡単な書き方で行くとI think this topic is ~であったり、This topic explains ~であったりします。もちろん何を聞かれているかによって書き方は異なってきます。いきなり結論を記載した後に、その記載を裏付ける文章、つまりサポートパラグラフを加えていきます。
サポート+例示
最初に書いた結論に対して、自分が持っている知識とそれを裏付ける事例をもってサポートするパラグラフになります。簡単な書き方で行くとTo begin with, ~であったり、First of all, ~でスタートします。その後、余裕があればFor example, ~やFor instance, ~と例示を重ねて自身のロジックに深みを持たせます。2つ目のサポートパラグラフを記載する場合はSecondly, ~とパラグラフを変えて続けます。もちろんこちらにも例示を重ねるとより良いものになります。この例示は実際に経験していなくてもかまいません。
結論
最初に記載した結論とは別の言い方で、最後に結論を記載します。こちらも簡単に書くとIn conclusion, ~であってり、Therefore, ~であったりします。
これらの記載方法に合わせて文章全体を作成した後、スペルチェックをセルフで行えば完成です。全てのテンプレートをまとめると以下のようになります。
This topic explains XXX
To begin with, XXX. For example, XXX.
Secondly, XXX. For example, XXX.
Thirdly, XXX. For example, XXX.
In conclusion, XXX.
といった具合です。~の中にはしっかりと問題で問われていることに関係する文章を記載する必要があります。
僕がUSCPAを受験したときはAICPAによるWritten Communicationの採点基準は確認していなかったのですが、そちらと照らし合わせても見当違いの記載方法ではない気がします。ただし、こちらの構成がUSCPA試験で求められるものと一致しているとは限りませんし、この方法で記載すれば点数が取れると保証するものでもありません。あくまでどのように書けばいいか全く思い浮かばない人のために参考として残しておくものになります。自分のスタイルがある人はぜひそちらで勝負してみてください。
ちなにみ、昔、受験者が書いていたブログで「記述問題で何を書いたら良いかわからなかったので、ローマ字でとりあえず日本語の文章を書きました(笑)」といったものを見たことがありますが、無意味なのでとりあえず英語で何かを記載するようにしましょう。