今回は、USCPA試験の対策として、4つある科目をどの順番で受けるのが最も効率的かということについて書いていきます。結論から書くと、下記の順番で受けるのが最も効率的になります。
USCPA受験のおすすめ順
- FAR
- BECまたはAUD
- REG
上記は僕が1年間にわたるUSCPAの勉強で全科目合格したときに実際に受験してきた科目の順番なのですが、今思うとこの順番で受験してきて本当に良かったと思っています。では、それぞれの理由についてもう少し深堀していこうと思います。もちろん人によって考え方は変わると思いますが、一つの参考としていただければ幸いです。
第1科目:FAR
USCPA試験で最初に受けるべき科目はFARです。極端なことを言ってしまうと、残り3科目の順番はそこまで気にする必要はありませんが、最初の科目は絶対にFARを選択するようにしてください。以下、その理由について記載していきます。
理由1:FARの知識はUSCPA試験全体で必要
USCPA試験の全体にわたって必要になるのが、FARで求められる財務会計や簿記の知識になります。それらを最初に勉強しなければ、特に会計の初学者にとってはFAR以外の科目を勉強していてもイマイチよくわからないということが発生します。なぜなら、BEC、AUD、REGといった科目の問題はFARの知識を前提として作成されていることがあるからです。
例えば、BECの原価計算や管理会計の部分には、複式簿記の方法を利用した計算方法や、費用の分解などが含まれています。仮にUSCPAを知識ゼロの状態から学び始める人は、どのような費用が存在するのか、また複式簿記はどのようなシステムなのかということがわからないため、BECから勉強しても理解が進みません。またAUDに関しても、特定の勘定科目に対する監査のプロセスなどが出題されますが、その勘定科目がどのようなものなのかを知っていなければ、一体なぜそのような監査手続きになるのかが理解できず、非効率です。REGに関しては基本的にFARとの比較で勉強が進むことが多いので、FARを知らなければ比較することもできません。
このように、基本的に他の科目を勉強する前に土台としてしっかりとしたFARの知識が必要になるのです。逆に言うと、FARの知識をしっかりと固めれば、安心して他の科目に進めることができるということです。
理由2:FARの範囲が膨大
USCPA試験の各科目の中でも、FARの量は非常に膨大です。そのため、比較的範囲が少ない他の科目から勉強し始めて、BECやAUDで科目合格をしたとしても、そこから科目合格の期限が切れる1年半の間にFARの勉強量をこなせるかは未知数になります。逆に言うと、最初に膨大な量のFARを合格しておけば、残りは(FARと比べて)比較的範囲が少ない科目を相手にするだけで済みます。最初にFARを合格することによってUSCPA試験の流れや勉強のコツをつかみ、他の科目に応用していくという作戦でいくのがおすすめです。
第2~3科目:BECまたはAUD
2つ目と3つ目は、BECもしくはAUDを選択しましょう。順番はどちらでも問題ありませんが個人的にはBECを2番目、AUDを3番目にすることをおすすめします。僕の場合は2科目目がBECでしたが、これはFARと同時受験でした。そして3科目目がAUDという流れでした。以下に理由を書いていきます。
理由:FAR知識の応用が可能
最初に受けるFARの応用が出来るのがこれらの科目になるためです。上記の通り、BECには管理会計や原価計算、そして予算統制などが出題範囲に含まれています。これらは財務会計(FAR)の知識を前提としていることも多く、FARの知識が鮮明な状態で勉強を開始したほうが効率的に覚えることが可能です。また、AUDに関しては勘定科目に対する監査手順が、勘定科目に対する知識を前提としているので、こちらもFARの知識が鮮明な状態で受験する方が良いでしょう。
仮にFARともう1科目、つまり2科目同時に受験する人は、範囲が少ないため負担が少ない、これらの科目のどちらかを選びましょう。大学で経済や経営学などビジネスに関するものを学んできた人であればBEC、英語の読解力が高く、表現をしっかりと汲み取れる人や監査に携わる人であればAUDを同時に受験すれば比較的軽い負担で済みます。ただ、BECとAUDは範囲が狭いといっても、難易度が低いというわけではありません。USCPA試験は相対評価だと言われており、試験が簡単であれば平均点が上がり、合格するのが非常に困難になるためです。僕もBEC試験が終わった後は90点は獲得できただろうと自信満々に思っていたのですが、結果を見てみると70点台のギリギリ合格ラインだったというものでヒヤッとしました。
第4科目:REG
最後の科目は、REGがおすすめです。以下に理由を書いていきます。
理由1:最終科目でモチベーションを絞り切る
最初の理由として「モチベーション」があげられます。ハッキリ言って、日本人にとってアメリカの税務について勉強するモチベーションはありません(僕だけ?)。僕もFAR、BEC、AUDは会社の業務に結びついていたので楽しかったのですが、REGに関しては全くと言ってよいほど業務と関係がなかったので、勉強のモチベーションを保つのが大変でした。「3ヶ月の短期集中で絶対に合格する」という目標を立てて、ひたすら問題集を解きまくっていたのですが、今思えばあれは「この科目さえ終われば全科目合格が待っている」という希望と「REGが何度か不合格なら科目合格の期限が切れる」という恐怖を頼りにするモチベーション維持方法でした。
理由2:FAR並みに範囲が広い
次に、REGの範囲は非常に広い(税法に加えてビジネスローも含む)のですが、内容はFARと「似ているけど違う」というものになります。この「似ているけど違う」というのかクセモノで、1科目目に受験するFARの知識が鮮明な状態で試験を受けると「あれ?これってどっちだっけ?」とFARの方法とREGの方法がごちゃ混ぜになる可能性があります。みなさんも試験中にこういった思考回路に陥ったことがあると思いますが、この思考回路に陥ると「どちらかの答えは絶対に合っている」という気持ちから、何とか正解を思い出そうとしてその問題に対して無駄に多くの時間を取られがちになります。そのため、REGを最後の受験科目に持ってくることによって、FARの知識を一旦忘れることによって混乱防止を狙うことができます。
まとめ
以上が僕が考えるUSCPAのおすすめの受験科目の順番になります。最初にFAR、最後にREGというところを抑えれば問題ありません。もちろん、絶対にこの順番で受けなければならないというわけではなく、自分が受けたい順番で受けるのが一番です。ただ、受験を終えた後に考えると、上記の順番が一番効率的にすすめられるのではないかと考えました。少しでも参考になれば幸いです。