僕はこういうサイトを更新している身として、USCPAについて検索することが普通の人よりは多いと思っています。今日も元気に「USCPA」と検索してみたところ、Google先生から「以下のキーワードはいかがでしょうか」と丁寧な提案を受けました。
ふむふむ。「USCPA 意味ない」「USCPA 役に立たない」「USCPA 使えない」か。Google先生、1点だけよろしいでしょうか。
おちょっくてるのかな?ここまでコケにされたことは初めてですよ・・・。
ですが、ここまでGoogleによるキーワードを見かけるということは、それだけそのキーワードで検索している人が多いということだと思います。そして、この記事を見てくれている人は、USCPAに興味がある・または勉強中だけど、いざ取得して意味がなかったら、つまり自分の人生が好転しなかったらどうしようと不安になっているのでしょう。そこで、今回は実際にUSCPAとなった僕が、USCPAに意味はあるのかということについて、本音で発言していきます。
USCPAは意味ないのか
さて、さっそく結論から書いていきます。USCPAを取得した自分の経験からすると、USCPAは取得することに意味はあります。僕はUSCPAを取得したことで人生が良い方向に変わりましたし、僕の周囲にいるUSCPAも人生を変えてきた人ばかりです。USCPAの人から「うわーUSCPA取得して失敗だったわ」という声は聞いたことがありません。
え?「それってあなたの主観ですよね?」っておっしゃいました?
待ってください。本題はここからです。ここからは、どうしてUSCPAに意味があるのかについて書いていきたいと思います。
自分のフィールドが拡大する
まず最初に、USCPAを取得すると自分のフィールドが拡大することがあげられます。フィールド?なんのこっちゃ?と思われるかもしれませんので、簡単に説明します。
まず、世界中に英語を話す人口がどれくらいいるかご存じでしょうか。以下は、英語を第二言語として話す人まで含めた人数を表すグラフとなっています。The English Club様より引用させていただきました。
この表から見ると、世界中に英語を話す人口は全体で約15億人いることになります。これは日本人の人口が約1億3千万人だとすると、USCPAの人が相手に出来る人間の母数が10倍以上になることを意味します。もちろん単純に計算することはできませんが、日本人だけを相手にするよりもはるかに多くの人間を相手にすることができるようになるのは確実です。これは、非常に大きなメリットと言えます。
メリット1
単純にコミュニケーションできる相手が激増する
USCPAを取得しても英語ができるようになるとは限らないという声があるかもしれませんが、僕は「英語で何かを成し遂げたことがある」人は普通の英語を学習しているよりもはるかに英語の使い方を理解していると思っています。英語は「英語を」勉強するよりも、「英語で何かを」勉強した方が劇的に伸びます。
学習内容が実用的
そして、もう一つ重要なのがUSCPAで学習する内容です。USCPAに合格するためには4つの科目にすべて合格する必要があるのですが、それらの4科目は以下のようになっています。
- 財務会計
- 管理会計及びビジネス
- 監査
- 税務及びビジネス法
これらの科目はほとんどビジネスマンとして働いていくなら避けて通れない分野となっています。特に財務会計の知識は企業において管理職以上となる場合は、もはや必須と言ってもよく、その知識が全くないと、周囲は誰も指摘してくれませんが「本気かこいつ?」と思われることもあるでしょう。資本主義社会において、株式会社で働くということは、会計を知らない=ビジネスのルールを知らないということを意味します。それほど会計は大事、と勉強した身としては感じます。会計の知識もないのに事業投資の判断をしている管理職の人って、何を根拠に決断しているんですかね。
そして1点目のメリットとも関係してくるのですが、基本的に会計というものはその「ルール」が世界中で統一されています。細かい箇所は日本基準、米国基準、IFRSと異なるのですが、土台となるルールはすべて同じです。そのため、会計をベースとしたコミュニケーションの場合、驚くほど相手が外国人でもコミュニケーションをとることができます。共通の知識があることでコミュニケーションは驚くほどスムーズになります。これは英語を勉強しているだけでは気が付かないと思います。
僕は昔から不思議だったのですが、どうして学校では「英語」という科目があるのに「英語で〇〇」という科目はないのでしょうね。英語で何かを学ぶ機会に恵まれるかどうかで、その後の英語学習の効率性は天地の差が生まれると思います。
メリット2
ビジネスの言語である会計知識が身につく
※ただし、上記科目において、「監査」については自分の人生との結びつきを考えるとほとんど不必要な知識だと言えます。僕のように監査法人で働く場合は必要な知識にはなりますが、普通にサラリーマンとして生きていくうえでは他の科目と比べると使える場面はぐっと狭まります。
【参考】僕の場合
それでは、参考として僕の場合はUSCPAを取得してどうなったのかということを簡単に書いていきます。まず、僕は大学卒業したあとに、典型的な日系企業の製造業に就職しました。その時点で「あ、この会社に居続けると本当にやばいわ」と察し、USCPAの取得をめざし、1年で合格することができました。その結果、以下のようになりました。
- ベンチャーの後に監査法人に転職し、最終的に年収が上がった
- 英語に関する仕事が自分のもとに来るようになった
- 法人負担で海外留学に参加できた
- 海外関係のアサイン(プロジェクト)に参加できた
こうしてみると、USCPAを取得してから海外関係の仕事が自分のもとに回ってくるようになり、海外と関係がありそうな案件について「とりあえずこいつに参加するか聞いとくか」という空気になったと思います。つまり、自分の仕事に関して「海外」という軸ができたのが一番大きな変化かもしれません。自分としては「英語と会計がある程度できる日本人」として割と恵まれた環境で働けていると思います。USCPA取得にかかった費用は監査法人に転職することで一気に回収できましたし、これからも働き続けることで最初に在籍していたメーカーの平均年収と比べるとどんどん差が開いていくことになります。ここまで恵まれていたら「USCPAは意味がない」とは言えません。
まとめ
まとめると、USCPAを取得することによりコミュニケーションをとれる対象が大幅に拡大し、かつビジネスの言語である会計の知識も身に着けることができます。今後の世界で生きていくうえで重要と言われている「英語」「会計」「IT」のうち、英語と会計の2つにアプローチできるという非常にお得な資格となっています。
ちなみに予備校はITのスキルも身に着けることができるといった広告をすることがありますが、あれは嘘です。USCPAの学習では使えるITのスキルは身に着きません。あのような過大な広告は非常に迷惑なのでやめてほしいですね。
正直なことをいうと、USCPAが意味ない、使えないという人の心情も理解できます、予想ですがそういう人は「日本人は日本で生きていけるんだから、わざわざアメリカの資格であるUSCPAなんて取得しても使えない」という考えなのだと思います。ですが、USCPAを取得したいと考えている人は、すでに自分の活躍の場を日本だけにとどめていないというのが現実だと思います。将来を見据えて、世界中で勝負できる人材になりたいからUSCPAを目指すというのが実情ではないでしょうか。キツい言い方をすれば、「世界で勝負したい」と考えるUSCPA志望者と日本に閉じこもって「USCPAは意味がない」と考える人は思考が合うわけがないのです。
【余談】USCPAが使えないと言われた場面
余談となりますが、僕がUSCPAを取得してからこれまでに「USCPAは意味がない」とか「USCPAは使えない」といった発言を聞いた場面を書いていきます。
まず、僕が所属している企業は「監査法人」と言って、基本的には日本の最難関試験と言われる「公認会計士」の試験を突破した人たちが群がっている職場になります。その監査法人で働いている中で、さらに「会計=人生」といった一部の人たちが存在します。「会計が友達です」という感じの人ですね。これは、監査法人で働いている人であれば共感してくれると思います。ちなみに僕の所属する法人では、そういった人たちを「歩く会計基準」とか呼んでいます。
そういう人たちからすれば、日本の会計基準の知識を勉強したわけではないUSCPAは「使えない」わけです。直接「使えない」ということを言うわけではありませんが「USCPAは知識面でやはり少し頼りないよね」という発言につながるわけです。
この点に関して、知識面でUSCPAは日本の公認会計士に大きく劣ることについては完全に同意します。一緒に働いていて思いますが、日本の公認会計士の知識は本当にすごい。何度、感心したかわかりません。ところが、その知識も本を読んだりインターネットで調べれば、答えにたどり着くことができるのがほとんどなわけです。
なので、USCPAは普通にパソコンを使って業務すればよいわけです。インターネットの知識がサポートしてくれます。それよりも、強みである英語力を活かせば日本の会計士と比べて差別化することが可能です。
以上、最後に少し脱線してしまいましたが、USCPAは意味がないのかということに対する自分の考えを書いてきました。少しでも参考になれば幸いです。