米国公認会計士(USCPA)について、今回はUSCPAの費用対効果について書いていきます。資格試験を目指す人にとって重要なことに「その資格を取ってそれ以上の効果を得られるのか」ということがあると思います。USCPAについてはどうでしょうか。

USCPAの費用対効果について

資格の勉強について、勉強することによって成長する目的が1番の人や、とにかく転職したい人や、年収アップを狙う人等、目的は様々だと思いますが、皆それぞれその先には「より良い生活」を目指していると思います。そこで、今回はお金に焦点を絞って、USCPAの費用対効果について書いていきます。

USCPAの取得費用

まずは、USCPAの取得にかかる費用を考えていきたいと思います。ここは人によって大きく上下すると思いますが、今回は僕が受験にかかった費用を書いていきます。

予備校へのお金

まずは予備校へのお金になります。僕が新社会人だった時代、お金が無さ過ぎてUSCPAの予備校にお金を払うことすらできない状態でした。日系企業メーカーの物凄く安い初任給に加えて、奨学金の返済で毎月収支はギリギリプラスかマイナスかという状態でした。そんな時、資料請求したUSCPAの専門学校からキャンペーンのメールが書いてあったことを覚えています。

「USCPAのコースが、今なら30万円に!」

「これだ!」と速攻でカード払いで申込みしようとすると、なんと一括払いのみ対応で、僕の当時のカードの限度額が30万円。即座にカードの限度額を引き上げる申請を行いつつ、専門学校に次のようなメールを送りました。要約すると「申し込みしたい。でもカード限度額があるので一括では払えない。なんとか分割払いで対応してもらえないか。」

今考えるとずうずうしいことこの上ないのですが、なんと「OK」と返事が来ました。貯金もほぼ無かったので、12回払いを選択しました。カード会社に支払う分割手数料などを考慮した場合、合計で35万円程度になったと思います。

ここからの一年は、極限まで生活を切りつめても毎月のキャッシュフローがマイナスになるというキツい生活でした。ただ、毎日USCPAの勉強で本当に充実していました。その後、ボーナスが若干出て、少し生活が楽になりました。

上記のコース以外にも、各科目の問題集や直前講義などを全て含めると、全部で50万程度は支払っていると思います。USCPAは市販されている問題集も非常に高額です。

受験に関する費用

また、USCPAは受験を行う準備から、試験を受けるまで色々とお金がかかるようになっています。例えば学歴審査にかかる費用や、試験そのものにかかる費用(僕はFARとBECはハワイで受験、AUDとREGは大阪で受験しました)、州によっては公証を行う費用などもかかります。それにハワイ受験を選択したため、航空券代やホテル代などもかかりました。これらをすべて含めると、少なくとも30万円程度は使っていると思います。

ライセンス登録に関する費用

全科目合格を達成した後、どうしてもライセンスまで欲しくなり、追加で単位を取得してメイン州の合格実績をワシントン州へトランスファーし、ライセンス登録を行いました。これに伴い、ライセンスサポートの費用や、追加単位にかかる費用が発生しました。全部で20万円程度だったと思います。

合計

これらを合計すると、専門学校や教材などの費用が50万、受験に関する費用が30万、ライセンス登録に関する費用が20万で、合計100万円程度のお金が必要だったことになります。ちなみにこれは少し低めに見積もっています。また、僕が通っていた専門学校は費用が安いことで有名で、他の専門学校であれば倍くらいの料金の可能性もあります。大幅にぶれることを考慮して、順調にいくと100~150万円程度でUSCPAを取得できることになります。

USCPA取得後

ここで結論を書くと、僕はUSCPAにかかった費用を転職で回収することが出来ました。まず、僕がUSCPAを取得するときに在籍していた企業の年収は、約350万円程度でした。そしてUSCPAを取得後に転職活動を行いましたが、複数の企業から内定をいただくことができました。福利厚生も年収の伸びも明らかに良い企業ばかりだったのですが、僕はその中からベンチャー企業を選択しました。

このベンチャー企業が提示してくれた年収は約450万円でした。この時点で、額面で判断すると1年でUSCPAにかかった費用を回収できることになりました。その前にいた企業と比べると、提示された年収に加えて残業代やボーナス(業績連動ボーナスも追加)、1年後に昇給した金額などを考慮すると、圧倒的に待遇は良くなりました。そして、このベンチャーで働いた直後にラインセンス登録を行いました。その後、どうしても働いてみたかった監査法人に転職を行い、さらに年収が上がることになりました。

これらを考慮すると、USCPAの費用対効果は僕にとって非常に大きいものになりました。今思うと、最初の会社にいたときに「これだ!」と必死にカード限度額を上げて、毎月苦しい思いをしながら分割払いでの支払いに耐えたことも、本当に良い経験でした。当時に身に沁みつかせた節約グセでたまに周囲にドン引きされることもありますが、浪費グセがつくよりは良いことだと思います。

まとめ

まとめますと、僕の場合はUSCPAの費用対効果は非常に高いものになりました。「会計」と「英語」のできる人材は多くないため、この分野の人材不足が続いている間は、USCPAの費用対効果は非常に高いと思いますし、今のあいだに取得して実務を積み続ければ、世界で勝負できる人材になれると考えています。以上で、USCPAの費用対効果を終わりたいと思います。

【追記】

現在監査法人に転職し、当初に在籍していた企業で、先輩が「現在の僕の年齢のときに受け取っていた給料」と「現在の僕の給料」を比べると、USCPAによる費用対効果は僕の人生において絶大なものになりました。100万円程度の費用と、真剣に勉強する1年程度の期間の投資としてはかなり良いリターンになっています。

また、監査法人に転職して気が付いたのですが、そこまでライセンスにこだわる必要はないと思います。正直USCPAで上層部にいる人々はライセンスを持っていない(つまり名刺に何も書いていない)方もかなりいますし、ライセンス取得にかかる費用とCPEなどの煩わしさを考えると、米国で会計事務所を開きたいなどの夢を持っている人以外は特にライセンスを取得する必要はないのかもしれません。僕ももしかしたら次回の更新時に更新しない可能性もあります。法人が用意する研修で自動的に単位が足りていれば更新する可能性もありますが。