今回は割と刺激的なタイトルになってしまいましたが「こういう人はUSCPAの受験をやめておいた方がよいよ」ということを書いていきます。今、USCPAを受けるか迷っている人に少しでも参考になれば幸いです。では、さっそく内容にいってみましょう。ちなみに、結構きついこと言っています。

大前提

まず、前提として話しておきたいのは、USCPA受験をすることによって、少なくとも「得るものが何もない」ということはありません。特に、僕が受験科目の順番でお勧めしているFAR→BEC→AUD→REGの順番で受験すれば、最初の2科目で「会計」「ビジネス」の知識を勉強することができるので、途中で挫折したとしても大きく損をすることはないと思います。このことを前提において、本題に入って行きたいと思います。

※ただ、USCPA予備校の宣伝は「USCPAの資格を取ることで必ずバラ色の未来が待っている」ことを強調しすぎており、やりすぎなところもあると思います。

USCPA受験をやめておいた方が良い人

では、どういった人がUSCPA受験をやめておいた方が良いのでしょうか。僕は2つのパターンがあると思っています。1つ目のパターンは、USCPAを取得することで人生が変わると信じているイメージ先行の人、2つ目のパターンは純粋にUSCPAに合格したとしてもその後の人生であまり大きなメリットを得ることが難しい人です。それぞれについて説明します。

イメージ先行の人

まず、USCPAを取得することで人生が変わると信じているタイプについて説明します。このタイプに共通するのは、ただ自分の仕事に興味が持てず、他の分野で活躍してる人の話を聞くと「格好良い」「自分もやってみたい」「自分がやっている仕事と違う」と、隣の芝生は青いをそのまま体現するような性格をしているということです。

情熱大陸を見ると「こんな仕事がいいなぁ」と興味を持ったりします。半沢直樹をドラマでみてメガバンクに就職を志望する学生なんかは、典型的なこのタイプと言えるかもしれません。そういう人はUSCPAと聞くと「なんとなく英語でバリバリ仕事をしているのが格好良い」と感じてしまうのでしょう。USCPAを取得すれば自分も英語で海外の人と仕事ができるのでは、と思うわけです。

上記とは若干異なりますが、資格を今の環境から逃げ出す口実にしている人も、受験はやめておいた方が良いでしょう。自分がやっている仕事が嫌で、その業務から逃げ出すために「資格」を取って人生変えようと考えるわけです。

「目の前のことに全力で取り組んで自ら成果を出していく」のが一番自分の人生を変化させるのに王道な選択肢であるということを理解できていないのかもしれません。そのため、USCPAを取得してなんとかしようという発想になるのだと思います。

合格後にUSCPAを活かせない人

こちらの方が人生に対する影響は大きいかもしれません。仮にUSCPAに合格しても、それを活かす余地があまりない人に関しては、USCPA受験をやめておいた方が良いです。その代表格が「もうあまり若くない人」です。

具体的には、30代の中盤あたりから転職市場がグッと狭くなります。社内で財務・経理の部門に移ると考えても年齢が高すぎて使いにくい社員となってしまいます。すでに財務・経理の部門に在籍している人がキャリアアップのためにUSCPAを目指すとすればまだ良いのですが、30代中盤というのは一番仕事をバリバリこなす必要があり、勉強に力を入れている余裕があまりありません。

そして、「経理の経験がない人」もおすすめできません。まず経理未経験ということでUSCPAの受験科目が全てなじみがなく、その時点で難易度が高くなりますし、これまでのキャリアを全て捨ててまでUSCPAからのキャリアチェンジにかけるというのはリスクが高すぎます。次の会社では「未経験者」というゼロキャリアからのスタートとなり、年収が下がってしまう可能性も高いです。

総じてこれらの人は、苦労してUSCPAを取得しても、その先に思い描いた未来を実現することが困難だと言えます。特に両方組み合わせて「もう若くないのに経理経験がない人」の場合、すでに他の分野で一定のキャリアを積んでいると思いますので、その時点でのキャリア・年収を捨てることになるため、USCPA受験は非常にハイリスクなものになります。

終わりに

ここまで書いてきたことは、自分の中の本音をさらけ出したつもりです。僕はこれまで、USCPAに興味がある人からの相談を何度か受けたことがあります。

「USCPAを勉強しています」と連絡を受けてから、その後に長期間にわたって合格出来ない人がいました。「USCPAを目指すか悩んでいます」と言いながら、具体的に動かずに悩みながら年だけ重ねていく人がいました。めちゃくちゃ親身になって何時間も相談に乗ったのに、結局その人たちの人生は何も変化がなかったわけです。

監査法人で働いていても、転職してくるUSCPAは若い人か、経理系の経験を積んでいる人が圧倒的多数です。中にはごく稀に「USCPA勉強中です」というステータスの人が転職してくることがありますが、若い人、もしくは経理経験者しか見たことがありません。

こういったことを書くのは、正直に言って無念です。しかし、残念ながらUSCPAがなんとなく格好良い、自分の人生を理想のところへ連れて行ってくれるという甘い考えの人は最終的に合格することが難しいですし、自分の人生を削って長時間勉強して合格したとして、その先に希望した通りの未来が待っている可能性が高いのは「若くて」「すでに経理経験がある」人が多いのは間違いありません。それについてはそういう社会なので仕方ありません。個人が嘆いてもどうしようもないことが多い世の中です。

でも、本当に、それで良いのでしょうか。

  • 「今の環境から抜け出したい」
  • 「今更だけど、どうにか人生やり直したい」
  • 「少しでもやりがいがある仕事がしたい」

こういった思いが、もし本気なら、僕は誰がなんと言おうとその気持ちに正直に突き進んでも良いのではないかと思います。むしろ、上記の条件に当てはまるにも関わらず、それでもどうしてもUSCPAを目指したいという人は心から応援したい。反対されても「いや、僕はやるので大丈夫です」という頭が振り切れてる人間が大好きです。

ハッキリ言って僕は会計も英語も向いていません。もっと突き詰めると数字に向いていません。こんなサイトを偉そうに更新していますが、USCPA勉強開始したときは「何がわからないかすら、わからない」状態でしたし、予備校の講義をDVDで数回見た直後に問題集を解いても正答率は60%いかない分野も多数ありました。何度も解いた問題を間違い、ストレスで文房具を布団に叩きつけた回数は数知れず。文房具と布団、本当ごめん。

USCPA受験を社会人の早い段階で決意したのも、新卒で入社した会社が地方にあったため「早くUSCPAに合格して東京の会社に転職したい」という消極的な理由がありました。「人から認められる何かが欲しい」「ちやほやされる会社に転職したい」「専門分野を身に着けて安心したい」「モテたい」こういった不純な動機があったのも事実です。つまり、USCPA勉強開始時の僕は、イメージ先行の人に思いっきり該当していました。

当時の僕と同じ状況にいる人が、今この時点における日本にも必ず存在すると、僕は思います。この記事はそんな悩める「当時の自分」に向けたものになります。他人の選んだ正解の人生よりも、正解かわからないけど自分で選んだ人生を進みましょう。あなたのより良い人生を祈っています。