今回はUSCPA合格までにかかる費用総額について書いていきます。割と個人の経験に基づいていますが、出来る限り網羅的な記載にします。USCPAは全科目合格までにかなりのステップを踏む必要があり、そしてそのステップごとにお金が必要になります。その費用について、それぞれ勉強にかかる費用、受験にかかる費用と分けてみていきます。結論としては60万円~110万円程度の出費が必要となるのですが、勉強にかかる費用と、受験にかかる費用に分けて内容を詳しく見ていきます。

USCPAにかかる費用

  1. 勉強にかかる費用
  2. 受験にかかる費用

では、まずは勉強にかかる費用から見ていきましょう。

1. 勉強にかかる費用

まず、勉強にかかる費用を見ていきます。USCPAの勉強には大きく分けてUSCPAの予備校に係る費用と、予備校の教材だけでなく追加で購入する教材の費用にわけられます。

(1)USCPA予備校費

USCPAの勉強にかかる費用で一番大きいものは、予備校に支払う代金です。USCPAの予備校は有名どころだけで4校あり、それぞれによって特色が異なるのはもちろん、代金も異なります。つまり、選ぶ予備校によってここの費用は増減します。

USCPA予備校

  1. アビタス
  2. プロアクティブ
  3. TAC
  4. 資格の大原

USCPA予備校の料金は、基本的に受講料に対するものとなっています。ただ、アビタスと資格の大原に関しては、受講料の中にあらかじめ追加で単位を取得するための費用が含まれているものもあります。つまり、どの予備校、またはどのコースを選ぶかは「自分が大学時代に会計単位、ビジネス単位を取得したか」によって変わってくるため、ここで費用が大きく変わります。

例えば、卒業した大学が経営学部で会計単位とビジネス単位を多く取得している方は、プロアクティブのコースを選択すれば30万円弱で済むのに対し、単位が全くない人向けのアビタスのフルパックであれば80万円弱かかることになります。ですが、すべての予備校の料金を見てみると、大体50~60万円でのコース提供となっていることがわかります。

ちなみに、上記の予備校に入って勉強するのに加えて、追加で単位を取得する場合は、すべてを含まれているコースを選んでいない場合、追加の単位ごとに追加で料金が発生することになります。結構えぐい商売ですね。

(2)追加教材(問題集)費用

市販のUSCPAの問題集として、普通にAmazon等で入手可能なものは「Wiley」の教材になります。僕が受験生時代だったころは「BISK」と呼ばれる問題集も存在(今でも一応検索で出てくるが発行年が古い)しており選択肢があったのですが、今ではWileyのみ更新されているようです。ただ、基本的に予備校が用意してくれるテキストと問題集をこなせば合格可能だと考えます。不安な人はWileyのTest Bankと呼ばれる問題集を購入して解いてみるのがよいと思いますが、自分が知らない問題にぶち当たっても不安にならないようにしてください。ちなみにですが僕の勉強スタイルは予備校のテキスト30%、問題集70%くらいの力の入れ方でした。

2.受験にかかる費用

次に、受験にかかる費用を見ていきましょう。受験に係る費用には、受験資格を得るまでに必要となる費用と、受験そのものにかかる費用の2つがあります。

(1)受験資格を得るまでにかかる費用

受験資格を得るまでにかかる費用として、かなり細かいものがたくさん発生します。それぞれについて詳細にみていきます。今ではほぼやる人がいないようなマイナーな手続きも載せています。

学歴審査費用

日本の大学を卒業している場合は「日本の大学で、こんな学位を取得して卒業し、こんな講義の単位をとってきました」とアメリカ人に証明する必要があります。これを学歴審査というのですが、この学歴審査を行うためにアメリカの学歴審査機関に審査料を支払う必要があります。アメリカにおける主な学歴審査機関は以下となります。

  1. NIES:NASBA International Evaluation Services
  2. FACS:FOREIGN ACADEMIC CREDENTIALS SERVICE
  3. ERES:Educational Records Evaluation Service

そして、この学歴審査機関に支払う審査料がNIESに関しては225ドル、FACSに関しては100ドルとなります。自分が出願する州によって、利用する(利用できる)学歴審査機関は異なるため、ここは各自によって異なる金額となります。利権のにおいがぷんぷんしますね。僕の場合はメイン州なのでFACSでしたが、今の受験者の選択州はワシントン州が多いため、ほとんどの人はNIESを選択すると思います。

成績証明書・卒業証明書(英語)

そしてその学歴審査機関に、成績証明書と卒業証明書を提出する必要があるのですが、ここで問題が発生します。それは、英文での成績証明書と卒業証明書が必要なこと、そしてその2つを国際郵便(EMS)で学歴審査機関へ郵送する必要があるということです。

英文成績証明書と英文卒業証明書は、大学によってことなりますが1通につき500円もしないと思います。ここでは2つ合わせて1000円としておきます。国際郵便は日本からアメリカへ郵送する場合、500gまでは2000円なのでこの料金になると思います。

公証

僕と同じく「公証手続き」が必要な州を選択してしまった不幸な人は、上記に加えて米国大使館で出願に提出する書類に関して公証手続きを行わなければなりません。この手続きは50ドルが必要になります。地方に住んでいる人は、大使館への交通費も別途発生することになります。

Reference letter

出願書類にReference letterが必要な州を選択してしまった人の場合は、必要となる人数分のReference letterを集めなければなりません。このReference letterは自分で書いて友人からサインしてもらえばよいです。超細かいですが、この印刷も無料でできるわけではないですので。ただ、今回の費用合計には細かすぎるので含めないことにします。

ちなみに、過去のメールを調べていたのですが、僕の選択したメイン州は、当時の学歴要件は「大学卒業」だけでよかったのですが、別の要件として「3つのReference letter」と「公証手続き」が必要となる州でした。そのため、先に学歴審査だけを実施した場合、以下のメールがNASBA担当者からきてビビった記憶があります。

懐かしいメール

「君、応募してきたけど3つのReference letterと公証手続き、そして応募フォームが届いていないよ」とのことです。ちなみにこの後に普通にReference letterと公証手続きを送付して何も問題なく終わりました。少し脱線しましたが、費用の話に戻ります。次は受験そのものにかかる費用です。

(2)受験そのものにかかる費用

USCPAを受験する準備が整い、いざ受験という段階でも、様々な費用が必要になります。

受験にかかる費用

  1. 出願手数料
  2. 受験料
  3. 日本受験費用(追加手数料)
  4. その他

以下で、それぞれについてみていきます。

1. 出願手数料

自分が出願する出願州によって、出願手数料は違ってきます。出願手数料としては、150ドル~250ドルくらいを目安に考えていればよいでしょう。また、一発勝負の全科目合格ではなく、複数回の受験で全科目合格を狙う場合、2回目からの受験は再出願となり、少し値段が安くなります。

2. 受験料

受験料は、1科目につき、統一された料金である225ドルとなっています。ただ、こちらの料金は割と頻繁に変更されるので、最新情報はNASBAのWebサイトから確認してください。ちなみに225ドルの時点で僕が受験したとき値上がりしていると思います。USCPAの試験は4科目あるので、すべて1回の受験で合格スコアをだしたとしても225×4で900ドルが必要になります。

3. 日本受験費用(追加手数料)

いうまでもなくUSCPAはアメリカの試験ですが、応募する州によっては日本でも受験することができます。ところが、日本で受験する場合は追加の手数料を支払う必要があります。この追加費用は、割と変更されるので、最新情報はNASBAで確認してください。僕が確認したところ、各科目につき371.55ドルという追加手数料となっていました。つまり、4科目すべてを合計すると約1,500ドル弱かかります。

4. その他

USCPA試験は、日本で受験する場合、東京か大阪の「プロメトリックテストセンター」で受験する必要があります。そのため、地方に住んでいる人は東京、大阪への交通費、そして前日に宿泊する人は宿泊費も必要となります。

3. USCPA合格までにかかる費用まとめ

では、最後にUSCPA合格までにかかる費用についてまとめていきたいと思います。

USCPA(米国公認会計士)試験合格までにかかる総費用

  1. 勉強にかかる費用:約30万円~80万円
  2. 受験にかかる費用:約30万円(1科目につき7万円強を想定)

結論:60万円~110万円程度の出費が必要となる

簡単にいうと、自分が予備校に支払う金額に30万円程度の追加で出費があることを覚悟しておく必要があります。また、直前対策の講義などを購入することを考えると、もう少し費用は上振れすることになります。

注意点としては、USCPAの各科目について、不合格になってしまった場合、再度受験するのに受験料と日本受験追加手数料である約600ドル、日本円に換算して約7万円の費用が毎回かかるということです。僕はなんとか1年で全科目合格することができましたが、仮に何かの科目で不合格となってしまった場合、USCPA合格までにかかる費用はどんどん増大することになります。

そのため、最初の科目についてはある程度「ここまでやったのだから大丈夫」というレベルまで勉強を重ねてから受験することをおすすめします。7万円は練習のつもりで失ってよい金額ではありませんからね。最初の科目さえ合格してしまえば、USCPAがどのような試験なのかをいうことがなんとなくわかるので、その後の科目についても勉強しやすくなると思います。

以上「USCPA(米国公認会計士)合格までに一体いくらかかるのか」でした。