USCPAとして監査法人で働く
これまで色々な記事でUSCPAとして監査法人で働くことが実は(当然?)結構お得ということを書いてきましたが、それらの理由をまとめて記載したことが無かったので、一旦まとめておくことにしました。すでに書いてあったらどうしよう。
■背景
僕はこれまでUSCPAの試験に合格してから、合格した際に在籍していたメーカー、そこから転職してITベンチャー、そして監査法人と色々な企業を渡り歩いてきましたが、やはりUSCPAとして監査法人で働くことは、いくつかの条件を満たした場合にかなりお得な選択肢だと考えています。
個人的には監査法人に入る前から確実にお得な選択肢だとは思っていたのですが、それでもやはり監査法人は日本の会計士が基本的に所属する組織であって、USCPAには不利になるのではと考えることもありました。そこで、僕は所属する監査法人のUSCPAの方で、かなり昇進している人々に「実際にUSCPAとして監査法人で働くことについて」飲み会の場などで色々とお話を伺ってきました。
結果として、やはり当初考えていたように、USCPAとして監査法人で働くことはかなりお得な選択肢だという結論に至りました。ただし、当初考えていなかった条件なども見えてきました。今回はそちらについても書いていこうと思います。
■こんな人がお得
僕はUSCPAであれば一律で監査法人で働くのがお得と考えていましたが、これまでの経験上、以下のような人がよりお得なのではないと考えるようになりました。そちらの条件を思いつきベースで列挙してみます。
- 自分のやりたい業務にこだわりが無い又は少ない
- 1に付随して、監査業務に興味がない
- 監査法人で出来る限り長く働きたい
- 3に付随して、独立などに興味が無い又は少ない
ざっと、このような人であれば監査法人はかなりおすすめです。では、それぞれについて書いていきます。
■業務にこだわりがない
自分のやりたいことに特にこだわりが無い人や、特に監査業務をやりたいと思わない人は、USCPAとして監査法人で働くことで特に不利になることはありません。監査法人のメインの業務はやはり監査ですが、こちらで日本の会計士と競争するとかなり不利な立場になります。やはり持つ知識の量が圧倒的に違うので、USCPAがキャッチアップするには相当の努力が求められます。また、最終的に監査報告書にサインが可能なのは、日本の会計士という謎の特権があるのが現状なので、監査業務で日本の会計士と張り合うのはあまり得策ではありません。そこで、非監査業務という分野に活路を見出すと、USCPAの活躍の場が広がっています。
・非監査業務とは
監査業務以外の業務のことです。具体的に言えば、以下のような業務があげられます。
- 内部統制の導入支援
- 会計基準のコンバージョン(日本基準からIFRSへ等)支援
- 規制対応支援
- 管理会計導入支援
などになります。いわゆるコンサルに近いものですね。これら非監査業務に携われば、会計メインというわけではなく、会計プラスその分野での知識の勝負になります。つまり、日本の会計士と土台は横並びであり、そのからの成長・昇進は自分次第というわけです。
■監査法人で長く働きたい
所属する監査法人で長く働きたいという人も、個人的にはおすすめです。というのも、「日本の会計士は辞める」からです。監査法人の離職率はかなり高く、長くいるだけで自動的にライバルがいなくなるというシステムになっています。それは、日本の会計士は一定の条件のもと、税理士にも登録が可能なため、実家の税理士事務所や会計事務所を継ぐという理由、そして公認会計士や税理士という資格の性質上、独立の垣根が非常に低いという理由、監査という業務が単調でつまらない仕事だと感じやすいことなどの理由があると思いますが、これらを総合した結果として、監査法人はかなり高い離職率になっています。僕の周囲でも、個人的に優秀だと考えている人の多数から「将来的に家を継ぐ」「独立する」という声を聞いています。
一方、普通の日本の大企業を考えてみると、日本型雇用制度の特徴として、終身雇用、年功序列などがあげられます。もうそんな時代は終わったという記事などを見ることがありますが、大企業に関してはこのシステムが終わったなどとは全く感じられません。それに加えて、何でも一定のレベルで仕事ができるジェネラリストを育てる風土から、日本の企業に勤めている人の転職に対するハードルは監査法人に比べると圧倒的に高いと考えられます。つまり
- クビになる不安は少ない
- 放っておいても自動的に昇進
- 専門分野に特化しない
こういった要素が重なり、1つの会社で勤め上げるインセンティブが非常に高くなっています。そのため、基本的にライバルの方から自発的に退職していなくなるという可能性は少なく、長い時間をかけた競争が待っている状態です。
■まとめ
上記をまとめると、非監査業務の分野でコツコツと頑張ることによって、USCPAの人にとって監査法人はかなりお得な職場であることがわかります。監査以外の業務と言っても専門知識が必要になることに変わりはなく、長くその分野に携わることによってかなりの知識や経験を身に着けることが出来ます。また、同じく知識や経験を身に着けた人がいなくなる可能性も高く、その分重宝され、昇進などの機会も多くなります。もちろん監査法人にも競争は多くありますが、給与水準を考えた場合、日本の企業で競争に勝ち残って得る給与と、監査法人で働いて一定の昇進をしたあとに得られる給与を比較した場合、圧倒的に監査法人の方が費用対効果は高いといえるのではないでしょうか。少し複雑なのでめちゃくちゃ単純に書くと
- USCPAは監査法人の非監査業務に携わるとお得
- 理由1:専門分野を掘り下げて希少性が高い人材になれる
- 理由2:周囲の会計士が自発的にいなくなる
- 理由3:昇進しやすい上に、昇進後に得る給与が比較的高給
ということになります。すごい後ろ向きな内容に見えるかもしれませんが、これはある程度事実だと思います。僕の周りの昇進しているUSCPAの人を見ていると、一定の分野(非監査)に携わり、辞めることなくコツコツと努力を続けている人が大半のように思います。もちろん、何もせずにダラダラしているわけではなく、専門分野の勉強や、クライアントの要望にきっちり応えるための努力は惜しんではいません。その結果として得られる年収は、別の記事で書いてありますが、十分なものだと思います。
少しでもUSCPAを目指す人の参考になれば幸いです。ちなみに、USCPAになって監査法人に入れば楽にスイスイ生きられるというわけではなく、もちろん相当な努力が必要になるということは大前提としておきます。
はじめまして。
いつも貴重な情報を提供してくださり、ありがとうございます。
USCPAとして監査法人への転職を考えています。
非監査業務は監査業務よりも激務度が高い印象を持っています。
監査法人で出来る限り長く働きたいと考えているのですが、コンサルタントのような働き方では年を重ねるにつれて肉体的、精神的にも厳しいのではないかと不安があります。
実際のところ、非監査業務はどれくらい忙しいのでしょうか。
お忙しいところ恐縮ですが、お答え頂けると幸いです。
>匿名希望さん
コメントありがとうございます。
質問に、僕が知る、又は体験した範囲での回答となりますが、お答えさせていただきます。
非監査業務であっても、財務諸表作成支援のような監査に近い業務であれば、やはり決算期に関してはかなり忙しくなる印象です。
ただし、一旦繁忙期を過ぎるとゆっくりできます。有給をここでまとめてとる方も多いです。
次に、それ以外の非監査業務、例えば内部統制導入支援や途上国への進出支援などですが、こちらはプロジェクトによる、としかお答えできないのが現状です。
仮にプロジェクト開始時期からスタートメンバーとして入る場合は、かなりの激務になることが予想されます。
先輩の話を聞く限り、毎日終電が当たり前という可能性もあります。
ただ、一旦プロジェクトが落ち着いてくると、普通に19時には帰られるようなプロジェクトとなることもあります。
このあたりに関しても、今後記事にしていければと思います。
返信ありがとうございます。
大変勉強になりました。
監査法人に関する記事、楽しみにしております。
初めまして。ブログ楽しく見させてもらっています。
現在学生で、USCPA合格を目指して勉強しておりBIG4監査法人への就職を考えているのですが、USCPAは出世が見込めないという記事を他のブログ等で見ることがあります。
こちらのブログで以前拝読いたしました記事では、日本の公認会計士はどんどん転職していくため自動的に昇進できるといった趣旨のことが書かれていたように思いますが、USCPAでも長く勤めていれば(ある程度の割合で)シニアマネージャーやパートナーになれるのでしょうか。
また、上記の理由でUSCPAは途中で転職することが多いとも伺ったことがあるのですが、監査法人にとどまるキャリアは最近では一般化してきているのでしょうか。
最後に、BIG4の中で、USCPAに対する差別(出世、給料等)が大きい法人や、少ない法人を御存知でしたら是非教えていただきたいです。
どうかよろしくお願いいたします。
leonさん
コメントありがとうございます。少しバタバタしていて返事が遅れてしまい申し訳ありません。
質問に対する回答ですが、僕の知る範囲では「非監査業務」であればUSCPAにもチャンスはかなりあると思っています。
実際に、僕の知る限りではUSCPAでシニアマネージャー以上になっている人は何人もいます。もちろん多数を日本の公認会計士が占めるので、割合でいうと少ないかもしれませんが、USCPAだからといって昇進が難しいということはないのでは無いと考えています。
※監査業務の場合は、僕の知識が足りないので正確な回答ができません。すみません。
BIG4の中でUSCPAに対する差別の大小に関しては、採用活動を通して最新情報を確認すると良いと思います。面接等を通して感じるものがあると思いますので。ちなみに僕が所属している監査法人では、日本の会計士とUSCPAの間で年収や昇進の差は一切ありません。どこか答えられないのがもどかしいですね。
HPで確認できる限りでは、グローバルなイメージが強いあらた監査法人は職員の割合の中に「USCPA」という記載がありますね。他の法人は記載がありません。
最後になりますが、勉強頑張ってください。このサイトが少しでも参考になれば幸いです。
お忙しいところ返信していただき、本当にありがとうございます!
USCPAでも出世されている方が多いとのことで、一層やる気が出ました!
これから就活するなかで自分にあった法人を探していきたいと思います。
ありがとうございました!!
日本ではやっぱりjicpaは監査仕事には重視されると思います。
監査以外なら、aicpaも役立つかと思いますが、taxならtransferring priceしかないかと思います。
emilyさん
コメントありがとうございます。
やはり日本の監査法人で監査業務をやろうと思うと日本の会計士である必要があるかもしれませんね。
USCPAであれば非監査業務であればいくらでもチャンスはあると思っています。
税理士法人だと移転価格分野での求人がかなり多かったので、やはりそちらの分野になるのでしょうね。
はじめまして、uscpaの勉強を始めて者です。貴重なお話しを共有してくださり有難うございます。このブログを励みに少しずつながら頑張って行きたいと思います。
Akiさん
はじめまして、コメントありがとうございます。
勉強頑張ってください!
USCPAは非監査業務で働くとお得、とのこと、大変参考になりました。
ご質問なのですが、USCPAとして新卒で監査法人に入所する場合、いきなり非監査業務でキャリアをスタートするのと、監査業務で数年働いてから非監査業務に異動するのとでは、どちらが良いと思われますでしょうか。
名無しさん
コメントありがとうございます。
新卒としてUSCPAで監査法人に入所する場合、もちろん状況にもよりますが非監査業務からスタートすることが個人的には望ましいと思います。
次にいただいているコメントで詳しく書いていこうと思います。
↑すみません、途中で送信してしまいました。
業務に特にこだわりはなく、できるだけ長く監査法人で働きたいと現時点では思っており、将来的には非監査業務で活躍したいと考えております。(監査業務ではやはりJCPAが大多数であり、サインもできないため)
しかし、何らかの事情で途中で転職しようと思ったとき、「監査法人出身なのに監査経験がない」というのはマイナスになるのではないかという懸念もあり、最初は監査業務を一通り経験しておいた方が良いのではと思う一方で、どのみち非監査に異動するつもりなら、初めから非監査部門に行った方が良いのかとも思います。
是非、管理人様のお考えをお聞かせいただきたく存じます。
また、これから非監査業務に携わりたいと考えているUSCPAに、特におすすめの仕事(IFRS導入や内部統制等)はございますでしょうか。
何卒よろしくお願いいたします。
名無しさん
まず、業務にこだわりはないけども将来的には非監査業務で活躍したいという点ですが、やはり活躍したい場でキャリアをスタートさせるのが、そのキャリアでの成功への最も近道となると個人的には考えます。極端な話をしてしまいますが、サッカー選手を目指すのに、足腰を鍛えるためにまずマラソン選手を目指すことはあり得ないということと同じイメージですね。
また個人的な例を出してしまい恐縮ですが、過去に僕の業務(非監査です)の上司として、監査業務をされていた人が突然やってきましたが、その方は全然勝手がわからなかったようで、結局僕が全部その業務をまとめてやることになり僕の評価に繋がったという経験もあります。1つの分野に精通するにはある程度の時間を要するので、やはり早くスタートした人が得をしますね。
これらの理由と経験から、僕は非監査業務スタートをおすすめします。ただ、監査業務に少しでも興味があれば一旦携わってみるのももちろん反対しません。
最後の非監査業務のUSCPAに特におすすめの仕事ですが、もちろんJCPAと差別化を図れる英語を使用する分野になると思います。
しかし、一つのポイントとして覚えておくとお得なのは、「プロジェクトのスタートメンバーとして参加する」というのがもっともオイシイということです。例えばすでに大企業に導入されていて、やることが大体決まっているUSGAAPへのコンバージョン業務にアサインされるより、これから始まる中小企業のよくわからないプロジェクトにアサインされる方が価値があります。
長々と書いてしまいましたが、もちろん個人の一つの意見として受け止めてくださいね。名無しさんのキャリアプランに合ったところに配属されると良いですね。
とっても詳しい御回答をしていただき、本当にありがとうござます!
キャリアについてかなり悩んでいて、転職サイト等での情報収集もしつくしてしまっていたため、実際の体験に基づく御回答は非常に参考になりました。
また、プロジェクトのスタートメンバーとして参加するのがお得というのは初耳でしたが、すごくためになりました。
もう一度自分のキャリアの方向性を見直してみたいと思います。
これからもブログを楽しみにしております。本当にありがとうございました!
先日は大変詳細なご回答をしていただき、ありがとうございました。
是非もう一点ほどお伺いしたいのですが、USCPAを就活前に取得して新卒で就職する際、
「事業会社でのキャリア」のページにあったような、
トヨタ、日立、富士フイルムといった、「グローバル大企業の経理部門」でキャリアをスタートするのと、監査法人でスタートするのとでは、どちらがよいと思われますでしょうか。
最初は監査法人に行って深い専門性を身につけたほうが良いかとも思うのですが、
監査法人は終身雇用を前提とした組織ではなさそうなことと、非監査部門であってもUSCPAがパートナーになれる可能性は難しそうなこと、繁忙期の激務ぶり等を鑑みると、
一生監査法人で働くということ自体があまり現実的ではなく、いずれ転職することを視野に入れながら働かなければならないのかとも思います。
監査法人出身者といえども、上記のような大企業への転職は、やはりかなり難しいのではないかと考えており、
もし新卒で上記のような大企業の経理に行けるチャンスがあった場合、そのチャンスを逃したらそのような大企業では一生働けない可能性も高いのではという懸念を持っております。
一方で、会計の道に進むにあたって、BIG4での就業経験が全くない状態で経理として一生働くというのもどうなのかという不安があります。
どこかで結局監査法人に行っておいた方が良いのなら、初任給が高いと言われている監査法人に最初は行った方がお得かもしれないという気もします。
このあたりの選択について、事業会社と監査法人双方でのご就業経験がある管理人様のキャリア観やアドバイスをいただけませんでしょうか。
よろしくお願い申し上げます。
名無しさん
再度のコメントありがとうございます。新卒で最初に選ぶキャリアは非常に重要だと思いますますので、僕の経験と知識の中で答えられる範囲で答えたいと思います。ただし、僕の口から「こちらが良い」というのは無責任になってしまうので、名無しさんの判断基準になりそうなものをいくつかピックアップして書ければと思います。
1.新卒で入社(入所)して希望部門に配属されるかは未知数
まずここですね。新卒の場合、大量の学生を一気に採用することになりますので、名無しさんが思い描いている部門に最初に配属される可能性は残念ながら低いと思います。僕も、ある企業に非常に惹かれていたのですが、確実に管理部門に入れるという保証を得ることが出来なかったため、その企業の内定は辞退しました。最初に入社した企業は、僕が希望していた管理部門に配属が約束されているようなものだったため、そちらに入社を決めました。仮に名無しさんが入りたい部門が明確になっている場合、内定が出た時点でその部門へ配属可能か人事の方に確認するのもアリです。正直就職活動はやったもん勝ちみたいなところがありますので、希望が通れば入社します、といったことをチラつかせるわけです。ちなみにこれは監査法人にもあてはまります。希望通りの部門に配属されるかは最後までわからないので、名無しさんが思い描くキャリアとは違う担当プロジェクトにアサインされるかもしれません。
2.雇用形態について
こちらは企業によってかなり違いますので、何とも言えません。友人は毎日20時前には帰らなければ逆に評価が下がるというグローバル企業で働いておりますし、基本が定時帰りの企業もあります。僕が転職面接で受けた某重機メーカーは繁忙期は月100時間を超える残業が発生しますと普通に募集要項に記載されていました(最終面接で落ちました、残念)。また、監査法人もグローバル企業もつぶれるときは普通につぶれるので、いざという時にどんなところでも働けるようにコツコツと自分の付加価値を高めておいた方が良いですよ。すでにUSCPAを取得されている名無しさんは問題ないと思いますが。ちなみに今は監査法人でUSCPAが珍しいものではなくなってきているので、パートナーになる方も普通に現れ始めていますよ。他の記事にも書きましたが、日本の会計士は独立や実家の会計事務所を継ぐなどの理由でいなくなりやすいので、割と自動的に昇進することも可能です。
3.転職について
名無しさんが懸念されているグローバル企業から監査法人への転職、逆に監査法人からグローバル企業への転職についてですが、自分の目指すキャリアがはっきりして、しっかりとした対策をとれば、どちらも可能だと思います。こんなことをいうとアレですが大企業でも会計と英語の両方をできる人はかなり少数ですし、監査法人は景気が良くなれば常に人が足りない状態になりますので。キャリアの方向性の説明がしやすいUSCPAを持っていると普通の人よりは転職がしやすいのは確実だと思います。ただし、企業によっては新卒しか採用しないと方針を定めているところもありますので、その点は注意が必要です。
4.給料
監査法人の方が多くもらえます。ただし、福利厚生も含めて考えると家賃補助などがしっかりしている企業の方が地味に多くお金を貯められたりします。
5.専門性について
普通、企業は大きくなればなるほど、その仕事内容を細分化していくことになります。ベンチャー企業であれば「経理部」で終わっていたものが、企業がでかくなるにつれて「経理部○○課」「経理部××課」といった具合に作業が分かれていくことになるのです。僕が最初に入った会社で任されたのは連結会計ですが、それ以外のことに触れる機会はほとんどありませんでした。税金や支払のフローについてはさっぱりわからない経理部員だったわけですね。このように、企業が大きければ大きいほど、企業活動のより小さい一部に従事することになります。それをローテーションしていくことによって、じわじわと内部の仕事を覚えていくことになります。監査法人は逆で、様々な企業の一面を見ることになります。1つの企業について深く知ることは外部者のため難しいですが、たくさんの企業と触れ合うことにより、内部にいるだけではわからない他社との比較ができるようになります。
こんな感じでしょうか。名無しさんのキャリアを決める判断基準に少しでも役に立つのであれば幸いです。
何度も丁寧な御回答をいただき、大変感謝しております。
会計を軸に生きていこうという漠然としたキャリア観はあったのですが、監査法人や事業会社について詳しく調べれば調べるほど、良い点と同時に悪い点も目につくようになってきてしまい、何を基準に志望度を決めればよいのか分からず途方に暮れておりましたが、
5つの判断基準としてご提示いただいたおかげで、自分の考えを今一度整理することができました。
特に、大企業を選択した場合の配属リスクについてはこれまでも認識してはいたものの、「資格があるのだから経理部には行けるだろう」とどこかで高をくくっていた自分がいたことに気づきました。せっかく興味の方向性が会計方面に絞れてきたところなのに、営業などの畑違いの部署に配属されるのはあまり嬉しくないな、と自分自身思っていたので、この点についてはこれまで以上によく考えてみようと思います。
また、大企業の場合、たとえ自身の希望がかなって経理部に行けたとしても、その中でさらに細分化されているということも盲点でした。グローバル企業の経理なら自然と幅広い論点に精通できるだろうと考えていたのですが、場合によっては長い間、固定の勘定科目のみに従事することになってしまう可能性もあるのだということに気づかされ、それはそれで考えものだなと思いました。
まだ1つに絞りきれたわけではないのですが、最終的にどちらを選ぶにせよ、スペシャリストとして働く以上、自己研鑽は常に心掛けて仕事に取り組んでいきたいと思います。
本当にありがとうございました!ブログの方も陰ながら応援させていただきます。