今回は、USCPAを目指すと英語力が向上するのかということについて書いていきたいと思います。
USCPAはアメリカの資格だから、英語力が身に着く気がするんだけど、実際のところはどうなんだろう?
僕は1年働きながら勉強してUSCPAに合格し、今では監査法人で働いています。今回はこちらの疑問に「正直に」回答していこうと思います。今回の目次は以下となります。
目次
USCPAで英語力は伸びるのか
USCPAの勉強で伸びる英語力について
では、さっそく内容に入っていきたいと思います。
USCPAで英語力は伸びるのか
結論から書いていきます。USCPAを目指しても、一定の分野を除いて英語力は伸びません。ここで少し寄り道して「英語力」がどのようなスキルで成り立っているかを考えてみます。「英語力」は以下の4つの分野で成り立っていることがわかります。
- 読むスキル:リーディング
- 聞く力:リスニング
- 話す力:スピーキング
- 書く力:ライティング
この中で、USCPAの勉強をすることにより伸ばすことが出来るスキルは「読むスキル:リーディング」の分野のみです。その他の分野に関してはほぼ鍛えられないと言っても過言ではありません。冷静に考えてみればわかるのですが、USCPAの勉強は基本的に「講義を受ける(日本語)」「テキストを読む」「問題集を解く」の3つで構成されています。これらを通して鍛えることが出来るスキルはリーディング能力だけなのです。
USCPAの予備校の広告を見ると、USCPAに合格すると、まるでその瞬間からグローバルに活躍できるビジネスマンになれるかのような錯覚を覚えますが、実際には会計分野の英語を読む力が鍛えられた人間が誕生するだけです。その状態で海外のビジネスマンと会議でバチバチ議論が出来るわけでもありませんし、英文でサクサクとメールのやり取りが出来るわけでもありません。
USCPAの受験科目のうち、BECという科目でライティングの出題があるので「書く力:ライティング」も鍛えることが出来ると思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、配点がそこまで大きくないので全力で対策する部分ではないですし、その部分でライティングの勉強をするのであれば別のライティング専門の教科書を買って実際に練習した方がはるかにライティング力は伸びるでしょう。参考までに、BECでの記述問題の対策もこちらで書いています。
割とキツい書き方をしていますが、こればかりは事実なので率直にお伝えしておきます。では、USCPAを勉強しても英語力は伸びないので役に立たないのかというと、そういうわけでもないのです。この辺りについて、もう少し詳しく書いていきます。
USCPAの勉強で伸びる英語力について
皆さんはこれまで「英語」を勉強してきたことはあっても、「英語で何か」を勉強してきた経験は少ないと思います。日本の教育現場だと、授業の中に「英語」の時間があり、日本語で「英語」の文法や熟語等を学ぶようになっており、決して英語で簡単な算数を勉強するわけでもなければ、英語で歴史の勉強をするわけではありません。僕はこれが日本の英語教育の最も残念ところだと考えています。
英語力が最も伸びるのは、英語で何かを学ぶ時だと僕は思います。留学生の英語力が飛躍的に伸びるのは、英語漬けの毎日を送ることが出来る環境で生活するのはもちろんですが、英語で何かを学ぶという行為が最も英語力の向上に効率的だからです。海外の学校に行くと受講する講義の分野について「読む・聞く・話す・書く」を全て英語で行わなければなりません。これが英語力向上に非常に有効なのです。こればかりは経験してみないと実感することはできませんが・・・。
少し前置きが長くなりましたが、ここまで書けばもうお分かりになられたと思います。そうです。USCPAを勉強することによって、英語で会計等の専門分野を学ぶという最高の体験を得ることが出来るのです。テキストや講義は日本語で進められますが、実際に問題を解くときには英文を読んで英語の回答をすることになります。
僕は問題集について市販の英語の分厚いものを使用していたので、問題文、回答、解説と全て英語で取り組んでいました。最初の方は解説に何が書いているのかさっぱりわからなくて何度も読み返したのですが、何度も問題集を繰り返し説いていく中で、英語で書いてあることがスラスラと理解できるようになりました。英語のリーディング能力が飛躍的に向上したのです。
この点において、USCPA予備校の大手であるアビタスの問題集は残念であると言わざるを得ません。日本人に親切な設計とのことで問題集の解説は日本語になっていますが、これでは英語力の伸びにブレーキをかけることになってしまいます。できれば英語の解説と日本語の解説を並列するといった工夫を見せてほしいところです。
繰り返しになりますが、USCPAを勉強することで、「英語で何かを学ぶ」という貴重な経験を得ることができ、また英語のリーディング能力を飛躍的に伸ばすことができます。リーディングスキルに関して留学の疑似体験が出来るというイメージでしょうか。ただ、それ以外の英語力については控えめに言っても伸ばすことはできません。ただ、英語で何かを学ぶという経験を通して、これからの英語学習の効率性を大幅に向上させることが出来ると僕は考えています。