監査法人で生き残るために
今回は、少し監査法人内部の話に切り込んでみようと思います。いずれ別途書きますが、監査法人は辞めないようにしがみついて知識を磨き続け、業務に真摯に向き合っていれば基本的に普通に昇進できます。そして、昇進に従って日本トップクラスの年収を手に入れることができます。USCPAにとってそのコスパはまさに異常だと言わざるを得ません。しかし、そのためには監査法人を辞めずに、コツコツ頑張る必要があります。
ご存じだと思いますが、監査法人は離職率が高い職場です。この数年間、何人も僕の周りから辞めていきました。そのたびに、「もったいないなぁ」と思ったものです。人生で数社経験している僕から言わせてもらうと、監査法人ほどコスパが良い職場はありませんから。今回は、割と激動の数年間をなんとか生き残ってきた僕の経験から、監査法人をやめずに生き残る方法を書いていきたいと思います。
結論から書くと、当たり前の話になるのですが、「自分にとっての地雷を避ける」という点につきると思います。自分がどうしても耐えられないことを避けることにより、快適な職場環境を手に入れることが出来て、辞職という最終手段は取らなくてすむようになります。僕のこれまでの経験から、辞めていく人は、主に以下の要因でそうせざるを得ないところまで追い詰められていました。
- 上司・同僚
- プロジェクト(クライアント)
では、それぞれどのようなことなのか説明していきます。
上司・同僚
今回の記事の中でもっとも重要なファクターとなります。結局人間が「この会社つまんねぇ、辞めたい」となるときは周囲の人間環境が面倒になっていることが大半です。ですので、自分の周りにいる人間が地雷でないことが一番重要となります。こんなことは言いたくないのですが、監査法人は公認会計士が集まっているだけあって、事業法人に比べて人格が破たんしている人間が多いと感じます。日本最難関の資格を突破したというプライドがあるためなのか、試験を突破するための猛勉強中に何かが欠けてしまったのかはわかりませんが、擁護できないレベルの人格破たん者が普通に働いています。びっくりですね。どのようなホワイトプロジェクトにアサインされたとしても、直属の上司が人格破たん者だったらおしまいです。今度、監査法人における人格破たん者を紹介する記事でも書こうと思います。
解決策
「あ、こいつと一緒に働くのが無理だわ。壊れる」と感じたら、即座に対策を取ることが長く働くコツになります。簡単に言うと、全力で距離を取りましょう。例えば上司がどうしようもない人間だった場合は、その上司のさらに上の上司に「今から相談することをバラしたら辞めます」とクギを刺しながら、「〇〇(上司)が耐えられないので別の上司のもとに私がいくようチーム編成を変える、もしくは私を別のプロジェクトに変えてください」と相談するのが大事です。そうすれば、他のプロジェクトに空きが出来た際に優先的に候補としてあげられますし、同じプロジェクトでも別の上司のもとに変えてもらえる可能性もあります。僕の同期(というか同時期に入所した人)はそれできっちり別プロジェクトにうつっていきました。
プロジェクト(クライアント)
こちらも重要ですね。簡単に言うとお客さんが優しいかどうかということです。監査法人の場合は監査部門と非監査部門で変わると思います。監査部門の場合は基本的に監査クライアントから監査法人の人間は感謝されることはありません。僕も財務・経理部門で働いていた時は、監査法人の人間が仕事の邪魔で仕方ありませんでした。そのため、クライアントからは厳しい対応を取られることが多いと思います。非監査部門では、コンサルのようなことをしてクライアントからお金をいただくため、クライアントの期待を超えた場合は感謝されることも多いと思います。ちなみに僕が人生で初めて社外の人間から仕事で感謝されたのは非監査部門の業務でした(笑)。ただ、監査と異なり、価値を生み出さないと完全に不要となるため、レベルが低い仕事をしていると厳しいクライアントからは尋常じゃない罵倒を浴びたりします。僕が実際に経験した中で厳しいと感じた例をあげるとすれば、僕の隣の人がクライアントから「お前良くそこまで常識無くて生きてこれたな」とか「は?何を言ってるかさっぱり」とか「もう1人では説明に来ないで。時間の無駄だから」とか言われてたことですね。あれを自分が言われたらと思うと耐えられません。聞いてるだけでも厳しいものがありました。
解決策
自分が壊れてしまうクライアントとぶち当たった時は、上司に相談、または人事に相談してプロジェクトを変更してもらうのが一番の選択肢になると思います。少し変わった方法として、業務の繁忙期が終わった時にヘルプとして別のプロジェクトに参加し、そこで猛烈に働いて使える人間アピールをしておけば、そこのプロジェクトから引き抜かれるという異動手段もあります。監査業務に携わっており、もし人から感謝される仕事がどうしてもやりたい、という人であれば、まずは非監査部門へ異動依頼を人事に打診すると良いと思います。
その他
上記のような人間関係とは別に、自分にとって耐えられないことを避ける努力もしていくとよりよい環境になると思います。例えば、朝早いのが耐えられない場合、金融部門は避けた方が良いですし、ネクタイがどうしても無理という人はIT系のクライアントについたほうが良いでしょう。また、出張が多いと無理という人は製造業の監査にはかかわらない方が良いですね。もちろん、監査法人ごとに異なると思いますし、プロジェクト単位でも違ってくると思いますので、あくまで目安として考えてもらえればと思います。ちなみに僕は朝早いのが苦手なので、「自分だけ10時前くらいに出社でもいいっすか。もちろん夜まで働きます。」と冗談で聞いたら普通に断られました。それでも評価下がらずに昇進しているので、良い会社だと思います。
最後に
僕が昔読んだ転職に関する本にも書いていましたが、「人間が会社を辞めるのは色々理由をつける傾向があるが、つまるところ周囲の人間関係が嫌で仕方ないからだ。」というものがあります。僕もおおむねこの主張に賛成です。これまで数回転職を経験していますが、実際周囲の人間に耐えられないからという理由が結構な割合を占めていました。
これまで解決策として色々と書いてきましたが、僕が監査法人で学んだのは、嫌なことがあったら自分から動いてさっさと処理をするということの大切さです。僕は耐えて嫌なことが通り過ぎるのを待つという性格でしたが、それでは自分が壊れてしまうだけなので、嫌なものは嫌と主張したほうが良いのです。それで評価が下がってしまうのであれば、自分がその会社に合っていないということなのでしょう。
やっかいなのは自分の評価が低い状態で上司の上司や人事に相談したとしても、まともに取り合ってくれない可能性があることです。なので、普段から業務はきっちり主体性をもって取り組み、人格破たん者や厳しいクライアント以外の評価はある程度稼いでおく必要があります。例にも出したクライアントにディスられまくっていた人物は、内部からも評価がかなり低かったので、最終的に入れるプロジェクトが無くなって辞めてしまいました。
まずは自他ともに認められるように業務に取り組むこと。そして運悪くどうしてもウマが合わない人のしたにつき、自分が壊れてしまいそうならさっさと逃げ出すこと、これを徹底していると、監査法人できっちり生き残ることが出来ます。
追記:監査法人における地雷たちの記事を書きました(参考:監査法人に生息する地雷たち)。