転職者よ、来たれ

これまで監査法人のアドバイザリー部門に入ってくる人は、監査に希望を持てない会計士や、すでに職歴があるUSCPA合格者(または科目合格者)、関連する職務経験を有している人など、即戦力系が大半を占めていました。そりゃ他の企業様からお金を貰ってドヤ顔でアドバイスするのですから、ある程度の知識、スキル、経験が無いとそもそも土台に立てない、もしくは背伸びして土台に乗るというのがアドバイザリー部門だと思います。ちなみに僕は限界まで背伸びしまくって、かつ景気回復の波に乗って運よくアドバイザリー部門に滑り込んだタイプです。

そんなアドバイザリー部門が最近になって始めているのが、大学生、大学院生を卒業と共に採用するいわゆる新卒採用という仕組みです。普通の事業会社と同じように、学生のときにマイページから応募、エントリーシート提出、面接を経て採用という、典型的なやつですね。

私は監査法人がこの制度に乗っかることに大反対でして、特にアドバイザリー部門は新卒採用との相性が最悪だと考えています。このように書くと反発を受けるかもしれませんが、新卒採用で入ってきた人材には「社会人としてこれから長い時間を仕事に費やす必要があるのに、そんなことでこれからどうするんだろう」とこちらがいらない心配をするようなレベルの人が混じっていたりします。例えば、以下のような感じです。

  • クライアントとのコミュニケーションが出来ない。電話して質問する勇気もなければ、かといって伝わりやすい丁寧なメール文面を作成できるわけでもない
  • 専門知識や実務経験があるわけでもない
  • ”やってみたいこと”が多い。ただなぜそれをやりたいのかは具体的に表現できないし、それに向かって努力することもない(新卒時代の自分を見ているようでつらい)
  • ”やりがい(笑)”が欲しい。単純作業が耐えられない。仕事は突き詰めると「会話」「タイピング」「クリック」「ワード、エクセル、パワーポイント」の繰り返しになることを理解できない
  • ある程度育成した時点で辞めるリスクがある(ただこれはこちら側にも責任があり、やはりスキル・経験が無い人には与えられる業務もそれなりなものになりがちであり、それを面白くないと思うのは当然)

もちろん新卒採用の中にも、とてつもなく優秀な人はいます。仕事の後の時間でUSCPAに合格して専門力を身に着け、業務方面でも手を抜かずしっかり実務経験を積み、一気に戦力になってくれるような人です。いることはいますが、ハッキリいってごく少数です。砂漠から砂金を探すようなもので、そこに期待するわけにもいかないんですよねぇ。

このブログの中でも書いたことがありますが、アドバイザリー部門は基本的にクライアントの困ったことを解決するために「プロジェクトチーム」を組んで仕事をしていきます。その困りごとは基本的に何らかの専門知識や他社での経験など、監査法人側の人員が持っている知識・経験が頼りにされることが多く、何も持たない新卒採用の人がプロジェクトチームに入ったとしても任せられることはほぼ何もないという事態になりやすいのです。クライアントとしても、何も知らない新人にお金を払いたくないというのは当然の気持ちであり「あ、新人さんいるなら教育料として追加で1000万払うよ^^」とは天地がひっくり返ってもならないのです。

つまり、個人的な見解になりますが、これは業態的に新卒採用の人を育成できるようになっていないのに、新卒採用に手を出した監査法人側が100%悪いと考えています。お金を払って新人教育の場を提供する羽目になってしまうクライアント、業務に加えて新人教育をする必要がある監査法人側のプロジェクトメンバー、そして重要な業務は任せられることは少ない新人と、全方向でマイナスの力学が働いています。

やっぱりアドバイザリー部門は、ある程度経験、ビジネスマナーを身に着けた人を即戦力を転職者として招き入れて、法人の風土に合わせてもらうのが一番お互いにとってWin-Winな気がしています。新卒採用は育成する土台がある程度整った(実態はついてくれる人だけ残すスタイルかもしれませんが)コンサル会社の方が向いている気がします。

ということで、最後にこの記事で伝えたいことを書きますが、この記事を読んでくれている監査法人に興味があるそこのあなた、ぜひ転職してきてくれませんかね(笑)。正直給料は結構良いので、受けてみて提示される年収を確かめるだけでもぜひ。

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