アドバイザリー業務のススメ

アドバイザリー業務は本当に多岐にわたります。クライアントの管理業務をそっくりそのまま引き受けるアウトソーシングのようなものから、突発的に対応が必要になったものをピンポイントでサポートするようなものまで、クライアントのニーズに合わせてお金を貰えれば幅広くやりまっせ、というのが正直なところだと思います(もちろん制限されている業務はダメ)。

そのため、入るプロジェクトによっては毎期やることがほとんど変わらない経理業務だったり、やることは1から考える必要がある海外子会社の買収に伴うJ-SOX文書化の支援だったりと、比較的安定したものから必死こいて自分の頭で考える必要があるものまで千差万別です。どのようなプロジェクトがあるのかは、自分が入る部門によってばらつきがあると思いますが、安定しているものと突発的な対応となるものという異なるタイプのものがあるのはそこまで変わらないと思います。

もちろん人によって「今は子育てがあるから安定したプロジェクトに入りたい」であったり「何も決まっていないところから始まる難しいプロジェクトに挑戦したい」であったりと、参加したいプロジェクトは違ってくるでしょうし、それはライフステージやタイミングでも変わってくると思います。自分が希望するプロジェクトに入れないこともざらにありますし、ずっと同じプロジェクトに入り続けることにより飽きてくることもあると思います。

私もなんやかんやアドバイザリー部門に長く所属しているので「このプロジェクトに入っていても将来キャリアに役立たないのでは」「さすがに飽きてきた」「上司ウザすぎワロタ」「クライアント態度悪すぎワロタ」「パートナー使えなさすぎ」みたいなことを多数味わってきました。そんな今だからこそ、なぜアドバイザリー業務に携わるのがおすすめなのかをあらためて書いていこうと思います。

なぜアドバイザリー業務がおすすめなのか

まずどんなプロジェクトに携わる場合でも、基本的に「実務経験」「知識(専門的なものが多い)」「他社事例」の3つが手に入る一石三鳥なのがアドバイザリー業務です。実務経験についてはクライアントが自分たちで対応するには難しいと判断したものについて監査法人に支援を頼むため、難易度が高めなものになっていますし、そのプロジェクトを遂行するのに必要な知識もまた難しいものになります。加えて、プロジェクトに携わるイコール「その会社の事例」に触れることであり、実はこれが事業会社にいるだけでは一生経験できない他社事例となるため、複数のプロジェクトで複数の会社と関わることはクライアントにとっては超貴重な他社事例をその分知ることができるのです(クライアントと話していると「他社ではどうなっていますか」という質問が本当に多い)。

つまり、アドバイザリー業務でプロジェクトに携わる際は、出来る限り幅広い業務に関わった方がお得になりやすいということになります。実務経験、知識、他社事例はやればやるほど増やすことができるためです。これは事業会社で普通に働いている人とは大きく差がつく要因になると考えています。これは安定的なプロジェクトでも、突発的なプロジェクトでも同じことです。要するに「定額使い放題」の通信料みたいなもので、アドバイザリー業務から得られるメリットは出来る限りたっぷりと味わった方がお得なのです。例えば、私が最近で経験したプロジェクトを並べてみます。

最近の経験

  • 内部統制の高度化支援
  • サステナビリティ開示における内部統制構築支援
  • 海外子会社への内部統制構築支援
  • サステナビリティ開示のスコアリング支援
  • 経理業務デジタル化支援

これらのプロジェクトに対して、メンバーとして参加する前から内容に精通していたわけではありません。もちろんこれまでの経験から、上記に応用可能な知見はありましたが、直結するようなものは実際にプロジェクトに参加してからクライアントと話すために必死こいて勉強する必要があります。ただ、これだけを見ても経営企画部、内部監査部、サステナビリティ部といった複数の部、さらに業界は金融機関からメーカー、商社等と多岐にわたるので、事業会社での勤務の人と比べると幅広い経験を積むことができたと思っています。

もちろん下っ端時代は幅広いプロジェクトに入るというよりは、1つのプロジェクトに100%アサインされて目の前の業務に忙殺されてしまい、自分が何をしているのかわからなくなることもあると思いますが、「そもそもこのプロジェクトは何を解決しようとしているのか」「その中で自分が担当しているのはどのような領域なのか」「その領域でのどの課題についてのタスクに取り組んでいるのか」という大きな視点から自分の業務が最終的にどこにつながるのかを把握したり、同様のプロジェクトの他社事例が現在進行形で走っていないか、過去になかったかといった観点で社内のメンバーとのつながりを探してみるのも良いかと思います。

最近、安定しているタイプのプロジェクトに入っているアソシエイトから「やることが単純でつまらない」と相談を受けたのですが、やはり上記のような観点で俯瞰しているわけではなく、目の前の作業を終わらせることだけを考えているようでした。個人的にはクライアントから貴重な資料を提供してもらえるし、内部統制関連の実務にモロに触れることができ、かつ勉強した内容のチェック(実務との紐づけ)にも使えるし、当然他社事例の1つとしてカウントできるのでお得なプロジェクトと思っていたので驚きました。

まぁ、この相談があったのでこの記事を書こうとふと思い立ったのであの相談には感謝しているのですが、あらためて自分の考えを文字に落とすことが出来て良かったです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)