よくある質問:プロジェクトチームって何人くらいなんですか?
私は監査法人のアドバイザリー部門に所属しているのですが、あまりにも社畜なため人事担当でもないのに採用関係のイベントに駆り出されることがあります。そういったイベントは学生や社会人にも参加しやすいように週末に行われることも多いのですが、私はあまりにも社畜なため問題なく参加するわけです。
私が参加してきた採用関係のイベントでは基本的にパートナー、管理職レベル、スタッフレベルで監査法人に興味がある人たちに対して「セミナー形式で監査法人の紹介」「私が所属している部門の紹介」「実際に働いている人の紹介」をした後に、グループになって質疑応答みたいな流れが多かったです。その働いている人の紹介や、グループでの質疑応答の際に実際に現場で働いている人の意見が必要ということで、私のような人員が投入されるわけです。
そして何度も書きますが私は社畜なので、こういうイベントに来てくれと言われると特に断ることもなくホイホイ参加するわけで、法人にとっても便利な人材となったのか何度か参加させてもらうことが出来たわけです。私個人としても監査法人への転職希望者がどのようなことを感じているのか、何を知りたいのかを直接知ることが出来る貴重な経験となるため、週末とはいえ参加する価値は結構あるのです。
こういうイベントに何度か参加したのですが、その中の質疑応答の際になぜかかなりの確率で聞かれる質問があります。それはタイトルにもある「プロジェクトって何人くらいなんですか?」というものです。個人的には「それを聞いてどうするつもりなんだろうか」と思うのですが、これが不思議になるくらい聞かれるんですよね。どうしてだろうと考えていたのですが、そういえば私も事業会社にいるときに監査法人やコンサル会社の人たちがどのように働いているのかさっぱりわからなくて、転職のときに色々と準備するのに途方に暮れたことを思い出しました。監査の実務みたいな本を読んでみても、実際にどのように業務が進むのかといったロジ回りの情報は詳しく書いていないんですよね。なので、今回はこのよく来る質問について出来る限り詳細に書いていこうと思います。
ということで前置きにめちゃくちゃ長い文章を書いてしまいましたが、ここまで読んでくれてますでしょうか。さっそく質問に回答していきたいと思います。
プロジェクトの人数の決まり方
結論からいうと「そのプロジェクトによります」という最悪の回答になるのですが、ここをもう少し掘り下げて書いていきたいと思います。プロジェクトの人数は、そのプロジェクトの難易度、クライアントから貰える予算、監査法人側のメンバーの余り具合などの要素が合わさって決まることになります。
そもそも監査法人のアドバイザリー部門における業務体系である「プロジェクト」についてざっくりと説明しますと、以下のような流れで監査法人に仕事が舞い降りることになります。実際に業務が開始するまでには色んな経路がありますので、以下はあくまで一例ではあります。
- クライアント企業が何か困ったときに監査法人にヘルプを頼む
- 監査法人が「こんな支援ができる!こんな経歴を持つ人がいるよ!金額は〇万円!」と提案
- クライアントが「とりあえずここに頼むか」とOKが出る
- クライアントと監査法人で「こんな支援をやります」という業務契約を締結
- 監査法人側でパートナーをトップに以下マネージャーやスタッフでチームを組む
- チームとして業務開始
このクライアントの困りごとを支援するためにプロジェクトが立ち上がるため、その内容はクライアントの要望によって様々です。例えば内部統制の高度化を手伝ってほしい場合であれば「内部統制高度化プロジェクト」ですし、会計システム導入を支援してほしい場合であれば「会計システム導入プロジェクト」となるわけです。そしてそのプロジェクトに関わるメンバーがプロジェクトメンバーとなるわけです。
そしてそのプロジェクトの人数は、最初に監査法人側から提案する際に、上記で書いたように難易度、貰える予算、稼働できるメンバーを考慮して決まることになります。プロジェクトの難易度が高いと予算も高くなりますし、予算を大量にもらえるということは多くのメンバーを投入することが可能になります。逆に簡単なプロジェクトだと予算はあまりつかないため、投入できるメンバー数も少なくなるわけです。
さらに細かい具体的な話をすると、監査法人から提案する資料を作る際に、以下のような観点で提案する人は検討を進めることになります。もちろんこれもあくまで一例です。
- クライアントの困りごとについて経験・知識を持つメンバーが誰かいないか
- そもそもその人って今は別のプロジェクトで忙しくないか
- 予算っていくらくらいで出せばよいんだろう
- 似たような他社事例はないか
- 同社に別プロジェクトで支援していないか
- 使えるメンバーか、問題を起こす噂は無いか
このようなことを色々と考えながら、「今回は3000万円でパートナー+マネージャー以上2人、アソシエイト3人の合計6名で提案してみるか!」とざっくりと提案し、その提案が通ればその人数でプロジェクトが立ち上げることになります。完全に余談ですが、提案段階ではアソシエイトの名前まで入らずに「TBD(後で決めます)」となっていることも多く、提案が通った後にマネージャーが必死こいてアソシエイトの確保に走ることも珍しくありません。その際に嫌われているマネージャーや悪名高いマネージャーの場合はアソシエイト側からNoが出ることもあり、訳ありのアソシエイトしか集められないといったことも発生します。やはり社会人としてよい人でありたいものです。
ということで最後に繰り返しになりますが、プロジェクトの人数というのはそのプロジェクトによって大きく変わり、ほぼ1人でやるようなプロジェクトもあれば、何十人ものメンバーが関わるプロジェクトもあります。私も現在20人程度のメンバーがいる大きめのプロジェクトと、3人の小規模のプロジェクトに関わっています。昨年は実質1人(上司が全く動かないので)のプロジェクトをやっていましたが、あれはしんどかったです。
以上、よくある質問への回答でした。何か知りたいことがあればお気軽にコメントどうぞ!