プロフェッショナルマネジャー

今回紹介する本は、ハロルド・ジェニーン氏による著書である「プロフェッショナルマネジャー ~58四半期連続増益の男~」です。タイトルの時点でお分かりになると思いますが、最近日本では「働き方改革」という生産性の高い働き方を推進していますが、本書の内容はそれとは全く逆方向のものになっています。

この本で最も重要なメッセージはただ一つ、「経営者に必要なのは経営すること、つまり結果を出すこと」ということです。では、どのようにして結果を出せばよいのでしょうか。それは、MBAで勉強するといったことではなく、経験を通して学ぶことが重要だと著者は言います。要は頭でっかちより自分でビジネスを通して成長しろということですね。

そして、本書の内容は、著者の自伝を中心として、ITTというコングロマリットを経営してきた経験から学んだものを語るものとなっています。ただ、その内容は気迫がものすごく、読んでいるだけで熱量が伝わってきます。

働き方改革という時代なので、僕も最近は割と緩く働くことになれていたのですが、新入社員のときは猛烈に働いていて、「もっと残業させてくれ!仕事をくれ!」というタイプだったので、この本を読むことによって「そういえばあの熱いモチベーションはどこにいったのか」と不思議な気持ちになりました。

ただ、僕は自分の人生の経験から、この本に書かれているようなタイプの上司になるわけではなく、また仮にそうなったとしても僕の気持ちとしてしっくりこない毎日を送ることは理解しているつもりです。このバリバリと働く手法は仕事の成果を出すうえで非常に効果があると思いますが、どの程度自分をそちら側に傾けるかは自らの人生を見つめて自分なりの回答を用意する必要があるのでしょう。

もちろん、自分の年齢を考えて猛烈に働く時期をあえて作るのもアリだと思います。どちらかというと僕はまだバリバリ猛烈に働いておく必要がある年齢なのかもしれません。

こういった答えのない問いについて考えさせてくれる良書だったと思います。もちろん、1人の人間の成功物語として非常に楽しく読める内容になっておりますし、会社を経営している人や部下を持つ人にとっては非常にためになる話(参考にできる話)が随所に散りばめられています。それこそ無意味な経営学の本を読むより何倍も得るものがあると思います。この本の内容は、社会が進むべき方向性から見ると「古い」と切り捨てられてしまうかもしれませんが、それでもなお記載されている内容には「事実」が含まれているため、「時代が違う」と簡単に切り捨てるのは勿体無いです。

この本を読んで、久しぶりに生産性を高める本を本棚から取り出しました(というかもう読み終えた)。仕事がんばろう!という熱意を出してくれる本なので、やる気に満ちている人はさらなる燃焼のために手にとってみてはいかがでしょうか。割と分厚いですが、読む価値はあります。

ちなみに、この本でいう「プロフェッショナルマネジャー」とは、ただ部下を管理するボスではなく、自らお手本となるような「リーダー」のことを意味しています。 今の時代、この本に書かれているレベルのマネージャーはほとんどいないと思いますが、自分がその立場になった際には(むしろ、今の段階から)組織を引っ張っていけるような人間であろうと思います。

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