これまでいたやばいメンバーで打線組んだ
監査法人でアドバイザリー部門で10年以上働いてきましたが、すべてが順風満帆だったというわけではありません。色んなプロジェクトに参加してきましたし、色んな人たちと一緒に働く経験を積んできました。今回は、そのなかでも悪い方向にやばいメンバーを紹介したいと思います。
もちろんあまりにも具体的に書くとアレなので、若干ぼかしながら書いていきます。ちなみに順番は思いついた順なので、ヤバい順とかではないです。
- (中):妖怪音信不通
- (一):透明人間
- (右):ノンストップおっさん
- (三):ジェンガ
- (二):ゴミ拾い
- (左):IPOおばさん
- (遊):散歩マスター
- (捕):トイレの花尾くん
- (投):ささやきマン
いやぁこうして振り返ってみると本当に色んな人がいましたね。全員辞めるか連絡を取らなくなったので今では何をしているのかさっぱりわかりませんが、元気にしてくれていると嬉しいです。ということで各選手について簡単に紹介していきたいと思います。これ誰か興味あるかな(今更)。
妖怪音信不通
まず紹介したいのは世にも珍しい妖怪音信不通、これはわかりやすいと思います。社内チャットをしても返信が無い、メールをしても返信がない、電話をしても出ない、折り返しもない、というのがずっと続く人がいました。ダントツでヤバいのが社内からの連絡だけではなく、クライアントからの連絡に対してもほとんど反応しないという徹底ぶりです。
不思議なのは、カレンダーに30分おきに「予定あり」という非公開の予定がびっしりと入っており、見た目はめちゃくちゃ忙しそうなように見えるのですが、そのプロジェクトに関わっている他のメンバー全員に聞いてみても、誰もその人に仕事を依頼していないのです。
あまりにも状況がひどかったので、パートナーを含めて話し合い、状況を改善するためにカレンダーの予定をその日以降全て公開するよう命令が出たのですが、なんとこれまでの予定も全て消え去り、さらにその日から予定はパタリと入らなくなりました。クライアントからも連絡の返信がなかったことの説明を求められ、最終的に改善策を提示した後に退社して消えるという最高のパフォーマンスを発揮して去っていきました。
透明人間
これはリモートワークが普及してから登場した新しいタイプの妖怪です。私が所属している監査法人では、マネージャー以上の職階は出来る限りリモート会議をしているときは画面をOnにして顔が見えるようにしようという努力目標があるのですが、この妖怪は全く画面をOnにしません。まぁそれだけなら別に良いのですが、常にミュートでもはや存在意義がないわけです。つまり透明人間と同じなんですね。
特に英語の会議になると全く実体化することは無くなり、永久に画面OFFミュートを貫いてきます。一度腹が立ってきたのでこの妖怪に話がいくように仕向けてみたのですが、英語で質問されたこのおっさんがどう反応するだろうとワクワクして待機していると、数秒経過した後に
「Moving」
と会議のチャット欄に打ち込まれたときは椅子から転げ落ちそうになりました。きっと移動中で話せませんアピールをしたかったのですが、事前にそんなこと全く聞いてないんですよねぇ。
ちなみにですが私より上の職階です。これでいけるんなら私の給与も同じかそれ以上に上げてほしいところです。
ノンストップおっさん
次はノンストップおっさんを紹介していきます。これまでこのブログでは何度か書いたことがありますが、日本の会計士は長期にわたる引きこもった勉強をするため、場合によってはコミュニケーション能力に深刻な影響を与えることがあります。つまりとてつもないコミュ障が誕生する可能性があるのです。
このノンストップおっさんもそのタイプで、簡単に言うと「何かを話しているのですが何を話しているのかさっぱりわからない」という奇跡の話術スキルを保持しています。最初に話したときはあまりにも何を話しているのかわからなさすぎで、同じ会議に出ていた人を別途会議室に呼び出し「すいません、僕がとてつもなくアホなのかもしれないので率直に聞きますが、さっきの会議で〇〇さん(ノンストップおっさん)が話していた内容、理解できましたか?」と確認すると「実は私も全くわかりませんでした・・・」と返事があったので安心しました。
そしてプロジェクトによっては定期的にクライアントに進捗状況を報告する場があるのですが、このおっさんが担当するパートの説明フェーズが始まるとまさに地獄の時間が始まります。仮におっさんが説明する内容にA、B、Cの3ポイントがあった場合、以下のようになります。
「Aに関しましては~~~。~~~と思っているところでございます。」この時点でかなり長々と説明しており、ちんぷんかんぷんな気分になっているのですが、そこから「私のこれまでの経験から~~~~(多分具体例として話している?)」「こちらの件につきましても~~~~(何か別のものと比較している?)」と話が膨らんでいきます。
僕「!!!!?!?!!?」
とにかく話が長いし何が言いたいのかわからないのです。しかも途中で質問タイムを挟むということを全くせず、Bのポイント、Cのポイントも同じようにダラダラと延々と話し続けるノンストップっぷりです。そしてすべての項目を話し終わって質疑が始まるのですが、クライアント側が何かを話そうとすると突然
ノンストップおっさん「そうなんですよ!」←突然のカットイン
僕「!!!!?!?!!?」
そこからベラベラとまた話始めるという地獄。さらにその長い話の全てが理解できないという地獄。僕はこのおっさんとのプロジェクトを通して、「何か話しているんだけど自分には理解できない長い話」が長時間続くと、脳みそがあり得ないレベルで一気に疲労するという無駄な豆知識を得てしまいました。
あまりにもそんな状況が続くので「〇〇さんすいません、今クライアントがお話いただいていたので最後まで聞きたいので少し(黙ってもらって)いいですか。」とカットインにカットインを合わせるという技まで身に着けることになってしまいました。
ジェンガ
各紹介がこれまでたまった怨念により長くなってきたので、ここからはサクサクと紹介していこうと思います。この人はネガティブな影響を受けたことがないのですが、やはり長期にわたる公認会計士試験によりコミュニケーションに自信を失ったタイプと推察しています。多分ですが、人と話すのが極度に緊張してしまうタイプなんですよね。
当時は私の上司だったのですが、やはり最初は色々と教えてもらうことがあるわけです。そして当時はコロナ前だったので対面での仕事が基本であり、直接指導を受けることが出来たわけです。
その人は紙で印刷した資料を使って説明してくれたわけですが、説明するときにボールペンを持って該当箇所を指して説明してくれるのですが、そこが緊張によってなのかめちゃくちゃ震えて焦点が定まらないのです。タイトルの通りジェンガでもやってますか?くらいのプルプル具合なので、説明を聞いているこっちとしてはツッコミもできないし笑うこともできないし、何かに耐える時間が続くわけです。「僕なんか相手に緊張する必要ないですよ」と伝えるわけにもいかず、涼しい顔して説明を受けていましたが、実際は耐えるのに必死でせっかくの説明内容が頭に入っていなかったことを正直に告白します。
ゴミ拾い
これは悲しめの話なので書くか迷いましたが、どうせなら書いてしまいましょう。私が割とピリピリした感じのプロジェクトに参加していたときのことです。特に厳しいと言われていたマネージャーの下で働くアソシエイトの方がいました。彼は別に悪い人ではなかったのですが、そのマネージャーによく怒られていました。私もそのマネージャーと一緒に働いたことがありますが、正直普通に怖いんですよね。その人はマネージャーの直下で働いていたので、毎日ボコボコに怒られるという状態でした。
- 怖くてマネージャーに質問できない
- 質問できないから理解が及ばない
- 低い理解度で成果物を作成し、怒られる
- 1に戻る
こういう感じで、見てて悲しくなるようなループに陥っていました。私としては「いや本人いるんだから怖くても本人に聞くしかないじゃない。」と思っていたのですが、冷静に考えてやっぱり怖いものは怖いんですよねぇ。ちなみにこういう場合は「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」とはよく言ったもので(今回のケースは全然違いますが)、どれだけ怖くてもさっさと平気な顔をして質問しまくった方がよいです。とにかくそのマネージャーとの知見を少しでも縮めないと永久に怒られるので、怒られるなら最初の方だけにするべきです。
また、恐怖にめげずに質問しまくっていると、「ろくでもない成果物」を作成する自分の責任から「何度も質問されているのに怖い対応を取る、ろくでもないマネージャー」の責任と周囲の評価が少しずつ変わってくることもありえます。さらに、耐え抜いたらマネージャーの知見に近づくことができるうえ「よく耐えられたね」と周囲の評価が勝手に上がるという効果もあり得ます。とはいえ、自分の心を最優先にして、無理だと思ったらこの作戦からはサッサと引くのは忘れないでください。
かなり話がそれてしまいましたが、このアソシエイトが取った行動は「そのマネージャーが印刷した中間成果物の、ちょっと内容が間違っていて捨てたものを漁る」というあまりにも奇抜なものでした。本当そこまでするなら直接質問した方が何倍も良いと思うんですけどね・・・。
IPOおばさん
これはプロジェクトにいたというよりは間接的に影響があった話なのですが、やはりどの会社にも「この人はもうどうしようもない」という人がいると思います。事業会社であればそういう人が行きつく部署などがあるのかもしれませんが、監査法人ではどのプロジェクトにも入らず、ず~~~~っと放置されるということになると思います(少なくともうちの法人ではそうなる)。ただ、監査法人としてもそういう人に給料を払い続けるのは癪なので、あの手この手でどうにかしようとするはずなのです。
とは言え別に追い出し部屋に呼び出して詰める、ということはなく、普通に担当のパートナーと会議をして、「この状況をどうにかしよう」という話し合いが行われることになります。普通はこのようなやり取りはそのパートナーと人事、そしてその問題ある当事者の間で行われることになります。
なぜ私がそういうことを知っているのかというと、ある人がなんとそのパートナー&人事とのやり取りのメールを、あろうことか法人内全体メールアドレスを無断でCcに追加して返信し、法人全体にIPOしてきたわけです。そこでこういうやり取りがあると初めて知りました。さらに、「このように閉じた世界で一方的にそちらの都合だけを押し付けられても納得できません」という開き直りが書いてあり、私は笑いをこらえることができませんでした。世の中にはすごい人がいるもんだと感心したことを覚えています。
ちなみにですが、私が仮にどのプロジェクトにも入れない状況になっても、心さえ強ければ別に問題ないんだな、と無駄に勇気づけられたのは内緒です。
散歩マスター
これは書いてある通りですね。毎日夕方になると散歩に出て長期間消えるという特殊能力の持ち主です。とは言え私も疲れたときや冷静に何かを考えたいときは散歩に出たりするので、人のことは言えない(というか他人から見たらヤバいやつ)かもしれません。毎日ではないですが・・・。
トイレの花尾くん
これは散歩マスターのトイレバージョンですね。1日に2桁回数くらいお手洗いに消えるという人がいました。正直体質のこともあるかもしれないのであまり強くは書けないのですが、一度先輩からの説明を受けているときに突然無言で立ち上がり、そのままダッシュでトイレに消えたのです。
このとき先輩が呆然として何も声を発せず口をポカーンと開けていたのですが、「開いた口が塞がらない」ってこういうことなのか!と先輩の顔をみて理解しました。ちなみに私も特に「どうした?」とか話しかけられず黙って見るに徹していました、というか何もできませんでした。今思い出してもあの無言の空間、時間は神がかっていたと思います。誰も理解が出来ない現状が起きたときは、人間はただ黙ってしまうものなのかもしれません。
ささやきマン
最後はささやきマンの紹介となります。繰り返しになりますが、日本の公認会計士試験を突破する人の中には一定数コミュニケーション能力が著しく減少してしまう人もいるのですが、この人もどうやらそのタイプで、簡単に言うと絶望的に声量が小さい人になります。私はかねがね別の同僚から「あの人はすごい。声がマジで聞こえない」「クライアントが会議後に心配になってこっそり確認しに来るレベル」という噂を聞いていていつか一緒に働いてみたいと思っていたのですが、ついに一緒に働く機会を得ることが出来ました。
そしてさっそく会議でご一緒することになったのですが、結論、本気で聞こえませんでした。あんなにも集中して他人の話に耳を傾けたことはないんじゃないかというくらい気合を入れて聞く必要がありまして、ちょっと笑っちゃうレベルで聞こえないのです。皆の注意を引き付けるためにあえてぼそぼそとしゃべっているのではないかと疑うくらいだったのですが、割と震え声なのでやはり緊張しているのだと思います。
ただ、この人はガチで知識量がすごく、内部の人もクライアントの人もこの人の知見は非常に頼りになるのです。なので、たとえ聞き取りにくいとしても重宝されますし、問題なく出世していきました。
業務以外ではどうなのかという点について、一度ご飯を一緒に行ったことがありますが、終始何を言っているか聞き取れず、言っている内容がわからないけど頷く、ではなく、聞こえないけど頷く、という稀有な体験を得ることができました。
まとめ
ということでこれまでの監査法人経験で出会ってきた、ちょっと色んな意味ですごい人たちを紹介してきました。今思い返すと本当に色んな人たちがいたなぁと感慨深いものがありますね。これからもこういう人たちと出会うのを楽しみに仕事を頑張っていきたいと思います。