家は賃貸すべきというお話
長かった。約1年前に、マンション購入に関する本を読んでから、もしかしたら自分はマンションを購入せずに賃貸していることで非常に損をしているのではないかと思い始め、そこから一気にマンションに対する知識を増やすことにした。
当然ネットにあるような情報はガンガン読破し、本を何冊も読み漁った。実際の物件、モデルルームにも何度も足を運び、検討した物件に対する掲示板の無駄な落書きも隅々まで読み込んだ。
当然、個人でマンションの評価をしているブログも過去の記事までさかのぼって全て読んだものもあるし、実際に管理人に連絡を取って不動産コンサルタントの方を紹介してもらい、自分が検討した不動産をお金を払って評価レポートを出してもらったりした。
正直、自分でも驚くレベルで真剣にマンションの購入を検討した。マンションのことであれば相当語れるレベルまで知識を詰め込み、新米の不動産営業の話には「何を言っているんだ?」と思えるようなところまで詳しくなったつもりだ(当然そんな態度は微塵も出しません)。そこまで必死になってマンションについて調べた今だからこそ言えることがある。結局、家は賃貸にするべきだ。以下では、その理由について書いていきたいと思う。
理由1:ローン=借金である
何より、ローンという名称が非常に気にくわない。借金だ。「6000万円のローンを組んでマンション買いました!」これではなんとなく真実がぼやける。実態は「6000万円の借金をしてマンションを買った。」ただそれだけだ。そして、借金であるということは、当然ながら金利が付いてくる。仮に、5800万円借りて都内にマンションを購入することを検討してみよう。ちなみに2018年の末、23区内でまともなマンションを購入しようとすると基本的にこれくらいは借り入れる必要がある。
- 借入金額:5800万円
- 金利:0.8%
- 借入期間:35年
上記の条件で、ボーナス払いをしない選択をした場合、月々の支払いは約16万円、そして総支払額はなんと約6650万円にもなる。金利だけで金融機関に800万円以上35年にわたってむしり取られる計算になる。もちろん借入金額や金利状況によってはさらにむしり取られることになる。もちろん、これらに加えて月々の管理費や修繕費、そして固定資産税といった支払も追加で必要となる。
理由2:移動の自由度が大きい
一旦、マンションのことは忘れて、これまでの自分の人生を振り返ってほしい。果たして、何回自分の拠点が変わっただろうか。自分が生まれてから小学校、中学校、高校までであれば18年、ここまでならば同じ場所だった人も多いであろう。そして人によっては大学、そして就職。転勤、転職。これまでずっと同じ場所にいた人はどれくらいいるだろう。そう、人は基本的にずっと同じ場所にいることはないのである。社会人になってある程度までこれば基本的に移動しないはず?ハッキリ言って、もはやそういう時代ではない。必死に35年のローンを組んでマンションを購入してから、35年の間、移動しないとなぜ言い切れるのだろうか。会社から海外駐在を命じられるかもしれない。隣に生理的に許せない人物が引っ越してくるかもしれない。会社が倒産するかもしれない。クビになるかもしれない。自分(あるいはパートナー)の地元に帰りたくなるかもしれない。そんなとき、まだ借金が残っていたら、自由度が極端に下がってしまう。その分、賃貸であれば非常に楽だ。移動が必要になればさっさと移動すればよい。ほとんど手間はかからない。
理由3:生活スタイルに合わせやすい
なぜこれを理由3に持ってきてしまったのかは謎だが、これが最重要だともいえる。賃貸は自身の生活スタイルに合わせて住む場所を変更できる、つまり自由度が高いのである。
仮に上記の条件でローンを組んだとしよう。そしてその人の年収は800万円だ。今では年収の7倍程度であればサクサク融資がおりるので、特に違和感はないと思う。さて、年収800万円ということは、月収にするとボーナスの割合にもよるが手取りで40万円くらいだと思う。月々の支払は約16万円に管理費と修繕費を加えて大体18万円だろう。残り22万円あれば普通に生活できそうだ。
はい残念、クビになりました。年収800万円程度まで行く人は大体自分を知的に鍛え上げているので、早々クビになることはないと考えられるが、クビとは言わないまでも会社が傾きました。給料が下がりました。病気になりました。こういった今当たり前と思っている収入が入らなくなることは実は簡単に発生する。
悪い方向だけではない。子供が出来ました。子供が大きくなりました。部屋が足りない。どうするのだろう。子供が暮らせるレベルの大きな部屋を買えばよい?子供が巣立ったらどうする。年老いた状態で子供がいなくなった無駄に広い部屋で手入れは大変だ。こういった生活スタイルの変化に、家を購入すると柔軟な対応が非常に困難になる。
賃貸だったらその点、非常に柔軟だ。クビになればさっさと家賃が安い場所に引っ越せばよいし、子供が生まれたら大きな部屋に引っ越せばよい。もちろん子供が巣立てばコンパクトな部屋に引っ越せば問題ない。働き盛りの時は職場に近い場所に住み、晩年は郊外の環境が良い場所に住むという選択肢もありうる。賃貸は柔軟性が非常に高いのである。
まとめ
このように、賃貸を選択することによって、何も背負わないことによる圧倒的な自由を手にすることができる。21世紀の今、人生何が起こるかわからない。言ってしまえば、人類は未だかつてないレベルの激動期を生きているとも言える。それに対応するためには、賃貸に住み、いつでも柔軟に対応できるようにしておくのが一番である。このご時世、わざわざお金を生まない住宅を借金して手に入れる必要はない。