【書評】1Q84
今更だけど、ずっと下書きで待機していた本の書評を完成させようと思う。今回紹介する本は、村上春樹氏の「1Q84」だ。これは書店で1と2だけが並んで置いてあったので、「お、前編後編の2巻セットか」と思って購入して読み終わり、やたら中途半端な終わり方をしたので「おかしいな」とググってみたらなんと全部で6巻のセットだった。あの本屋は一体なぜ2巻だけおいてあったのだろうか。あやまってほしい。
結局追加で3〜6を全て購入し、じわじわと時間をかけて読み終わることになった。そしてその本を書いた感想をノートの1ページにまとめておき、こちらの書評に反映させようとしていたのだが、なんとそのノートを捨ててしまうという痛恨のミスをしてしまったのだ。なので、今回の感想は「本を読んだ感想を書いたノートを思い出しながら書いたもの」という最高に微妙な立ち位置になっているのをご了承願いたい。ちなみに内容については重要なポイントにほとんど触れないのでこれから読む予定の人は安心して欲しい。
感想
やはりというか、この著者は物語の序盤から中盤にかけて読者を引き込む才能についてはダントツで優れていると思う。もちろん本作品も序盤から読み進めるにつれてグイグイと物語の中に引っ張られていき、「続きが読みたい!」と貪るようにページを進めることになる。その点に関しては個人的には100点をつけたいと思っている。
しかし、いつものように、読んでいる途中の「どういうことだ?すごい気になる!」というポイントは最後まで回収されずに終わることになる。僕が村上春樹氏の本を読んだ場合、いつも同じ以下のような感情の流れを抱くことになる。
- お、ええやん
- 続きが気になる!
- ふむふむ
- おい、残りページ少なくなってきたぞ
- え、あの謎は無視!?
作品ごとに若干の違いはあるかもしれないが、大体この流れを辿る。そして読んだ後はすごいモヤっとした気持ちが残ってしまうのである。しかも今回の作品にいたっては、その放ったらかしの手法を自ら擁護するような内容も含まれていたので、本人は特に修正するつもりもなさそうだ。
別の点に触れようと思う。読者を引き込む内容と文章に加えて、村上春樹氏は何かの作業を文章で表現するのが非常に優れていると思う。例えば今回の作品であれば「小説を書くこと」や「数学を解くこと」などの表現がそれにあたる。この点については本当にすごいと感心する。
さて、現在のところノーベル文学賞を受賞していない村上春樹氏なのだが、個人的に1点だけ推奨しておきたいことがある。それは、主人公にとって都合の良いセックスの相手をする女性を物語から排除することだ。割と多くの彼の作品で、主人公と性行為をしてくれる女性が登場し、だいたい途中でいなくなったりするのだが、これは現実世界を考えるとあまり良くない。そして、完全に僕の主観が入っているのだが、ノーベル文学賞の審査員はモテない。というか異性とあまり接点が無いような人が審査員だと思う。いや違ったら本当に申し訳ない。そんなモテない審査員が都合良くセックスする主人公の物語を読んで、果たしてその作品を推奨してくれるだろうか。
ここまで書いておいてノーベル文学賞がどのように決定するのか調べるのを失念していることに気がついた。調べるのも面倒なのでこの話はここで終わることにする。
つらつらと書いてきたが、結論として物語に引き込む力と作業を表現する文章は読んでいて非常に気持ちが良いので、ぜひ一度読んでみることをお勧めします。