10年経って振り返る、USCPAを取得して良かったか

今思えば10年以上前に大学を卒業して社会人となり、とにかく成功者(それが具体的にどういうことなのかはわかっていませんでしたが)になるために必死こいてきたと思います。その成功へと続く道のりの一部としてグローバルに活躍できる人物になりたくて、英語と会計の専門性を磨くために”USCPA”を目指すことを選択し、1年の勉強の末全科目合格することができたたわけですが、今になってその選択肢はどうだったのかについて改めて振り返ってみたいと思います。

題して、タイトルにもある通り、10年経って振り返る、実際にUSCPAを取得して良かったのかとなります。

さっそく結論から入りますが、私は10年前(実際はもう少し前ですが)にUSCPAを目指すことを決意し、その道に進んで本当に良かったと考えています。もちろん自分の選択肢が間違っていなかったと思いたいバイアスが強烈にかかっていることは承知していますし、全員にこの道を目指した方がよいとおすすめするわけではありません。そこで今回は、USCPAを取得する前の世界がそのまま続いていると仮定して、USCPA取得前、USCPA取得後と比較してお金面、業務面、精神面でどのように変化があったのか見ていきたいと思います。

お金面

まずはお金面でどうなったかを見てみます。USCPAの取得前後で、私の勤務先は以下のように変化しています。

USCPA取得前日系企業(東証プライム上場)
USCPA取得後監査法人

2025年の時点で調べたところ、私が在籍していた日系企業の年収は今の年齢で計算すると平均750万円程度でした。ただ、これは係長に昇進した場合の金額らしく、仮に平社員のままの場合はもう少し低い金額になりそうです。ただ当時を振り返ると周囲の人はダラダラとしている人も多かったので、出世はある程度できていたと考えて750万円だとしておきます。

それに比べてUSCPA取得後の監査法人勤務の現在ですが、年収は1000万円程度になります。そして重要なポイントとして、上記日系企業の平均年収は数年前にシニアアソシエイトに昇進した際にすでに達成しているので、これまでの年収を全て計算すると大きな差になっているということになります。

つまり、USCPA取得に向けて予備校の費用や試験代、そして私の場合はアメリカで受験したので飛行機代などを考えると結構な出費があったのですが、今となっては最強にコスパが良い資格だったということが出来ます。

日本という国は何をするか、よりどこの企業で働くかで9割以上年収が決まるので、高給取りの監査法人や年収が高い企業の経理などに転職できれば一気に年収をあげることが可能です。

もちろん当時はこんなに差が出来るなんて知らなかったのですが、今勉強している人の勇気づけに少しでもなれば幸いです。

業務面

次は業務の面でどのように変化があったのか見ていきます。日系企業にいたときは経理部として連結決算業務や開示を担当していたので、四半期ごとに非常に忙しくなる環境でした。ただ、月次、四半期、半期、年次とやることが決まっていて、いかにスピーディに対応するかが重要だったと思います。もちろん他の細かい業務もいくつかありましたが、それも月次でやることが決まっていることが大半でした。

繁忙期と閑散期がハッキリと分かれていたので勉強する時間を取りやすかったということもありますが、あまり忙しくないときはいつ辞めても良いようにあり得ないくらい細かい業務マニュアルを作成して一瞬で引継ぎが出来るように準備していたのも懐かしい思い出です。

USCPA取得後は監査法人のアドバイザリー部門に転職しましたが、ここでは多種多様な業界(金融、商社、広告、運輸など)に多様な支援(会計、内部統制、デジタル化、規制対応、ESG対応など)をする業務に携わることが出来ています。もちろん監査法人なので支援する内容は会計や内部統制、もしくはクライアント側が経理や内部監査部が多いという共通点はあるのですが、それでも非常に幅広い内容の業務を経験することが出来ました。

何度か記事にしたと思いますが、個人的にはこの多種多様な業務が出来るというのはピッタリと私にフィットしているのだと思います。数年やると飽きてしまう性格なので、飽きる前にやる業務が変更になるので監査法人を辞めるという選択肢が無いのです(と言いながら突然ふっと辞めるかも)。

このように自分に合っている業務内容の会社に転職できたので、業務面で考えても本当にUSCPAを目指してよかったと思います。

精神面

この項目については取得前、取得後で比較できないのですが、個人的に大事なので記載します。

USCPAを取得して大きかったこととして、「仮に今の会社をクビになっても、必ずどこかである程度の待遇で働ける(生きていける)」と自信がついたことがあります。

これは、英語と会計の知識が備わっているということもありますが、それに加えて上記にも書いたような業務経験を得たことが大きいと思います。アドバイザリー業務は続ければ続けるほど事業会社と比べると貴重な経験が貯まりやすい構造(アドバイザリー業務は事業会社にとって思い切ったプロジェクトに参加し続けることになる)になっているので、続ければ「あれ?自分、割といけるのでは」と自信がつくことになります。

そのため、USCPA取得時点で「グローバル企業の経理であれば人材不足なのでかなり転職しやすい」という精神的な安定を得ることはすでにできたのですが、アドバイザリー業務を経た今ではその対象が経理だけにとどまらず、自分が経験してきた領域であれば需要があるのだろうという安心感まで高まっています。

これはUSCPAというよりはアドバイザリー業務だからこそという面が大きいですが、その業務に携わる切符となったという点で記載させていただきます。

総じて

考えればもっとあげられると思いますが、USCPAを取得する前の人生が続いていたと仮定すると、今の人生は当時の自分からは想像もできないほど良いものになったと思います。

USCPA受験時代、片田舎のイオンで必死こいて勉強しながら、「自分はいつか何かやってやる」と漠然とした明るい未来を夢見ていたのですが、USCPAを取得したところでどうなるかあまりに未知数で不安だったのは事実です。当時の自分に「問題ない。そのままいけ」と伝えてあげたいですね。

今、東京駅や大手町駅周辺の巨大なビル群の間を歩いているときに、受験時代との環境があまりにも違うため「本当に自分がここにいて良いんだっけ」と疑問に思うこともありますが、それこそUSCPAのおかげだというものなのかもしれません。

今USCPAを勉強中で、将来不安な人がいるかもしれませんが、今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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